ぶっきらぼうな口調だったから、てっきり美味しくないんだと思って、謝罪の言葉が口をついて出た。
私には嫁は務まらなかった。それが頭に浮かんで凹んでいると、
「いや、逆だ。柚葉のお母さんのご飯も美味しいが、柚葉のご飯は何かが違う。とても美味しい。どう言えば良いか…」
とモゴモゴ言い出した。
こんなによく話す旦那様を、初めて見た気がする。
そして、私の作ったご飯をとても美味しいと言ってくれたのが一番嬉しい。
旦那様の声が、私の頭の中で何度も同じ言葉を繰り返す。
〝とても美味しい〟
この上なく喜ばしい褒め言葉。