次の日には観察室から自分の病室へ帰ってきた真理。
術後に生じる症状として、初めからあった痛みと疲労感に加え出血、排尿障害(頻尿)が現れた…
月経痛のような下腹部の痛み、いくら体を休めても何かがのしかかったように重く感じる疲労感…
月経日でもないのに出血がありナプキン着用…
そして一日に8回以上も排泄に行く、頻尿…
術後入院の為、二週間ほどの病院での療養生活の中、術後の症状に襲われそれに真理は必死で耐えていた。
症状が酷い時は医師に相談すれば治療や薬があるらしいが、そこまでするほどでは…と、耐えていた。
下腹部の痛みも疲労感も、動けないほどでもなく出血も小さめのナプキンで間に合うほどの量…
流石に一日8回以上もある頻尿は、どうしようもなかったが…
それに観察室で先日宣言したとおり、輝美が毎日のように通ってきてくれた。
そして真理の身の回りのことを甲斐甲斐しく世話した。
術後の症状のせいで体が本調子でなく入浴もままならない真理の身体の清拭、トイレへの付き添い…
毎日でる洗濯物は持って帰り洗濯して次の日また持ってくる…
本当に申し訳ないくらいに真理の身の回りのことを細々と世話した。
そんな日々が二日、三日…と続いたある日…
輝美と一緒に信也が訪れた。
そしてその手には、シャンプーやコンディショナー、トリートメントなど洗髪セットが入ったカゴが握られていた。
「体は毎日母さんが拭いてくれてるみたいだけど、シャンプーはあれからしてないだろ?今日は俺がまーちゃんの髪、綺麗にさっぱりしてやるよ…ちゃんと許可も取ってきたしな」
そう言いながら信也は笑顔で持っていた洗髪セットを、真理の目の前に見せた。
「せっかく現役のプロがいるんだし?…ね?」
輝美もニコニコと笑顔で言った。
そんな二人を眺めながら真理は、「やっぱり二人は親子よねぇ…」と、クスッと笑った。
その後、入浴室へ向かった真理と信也は、洗髪専用台でしっかりとトリートメントまで済ませ、満足気に二人して病室へ帰ってきた。
「あら、おかえりなさい…さすが現役の美容師ね…髪、サラサラじゃない?」
病室で待っていた輝美が、やるじゃない…と言うような顔で信也に言った。
「まァな…一応、俺もプロだし?…それに、まーちゃんのためだしな…」
ドヤ顔で返答しながら、少し照れ臭そうに信也は言った。
「しん君、ありがとう…すんごい気持ちよかった…なんだか美容室に行ったみたいで…」
「ぅん…まーちゃんが喜んでくれて、よかった…家に帰ってからだって、いつでもしてやるからさ…」
二人のそんな会話を輝美は微笑ましそうに見つめていた。
それから四日後…
病理診断の結果が出た。
診断の結果の話があることを前日に知らされていた真理が、信也をはじめ両親にも連絡しておいたため、全員が病院へ集合した。
医師の話によると、真理はⅢ期と判断され化学療法が追加される…
その追加治療を含め、さまざまなことを早期に発見し治療に結びつけるためにも、五年ほどの経過観察を行うという…
真理を含め五人は医師の話を黙って聞いていた。
信也はベット横に真理と一緒に腰掛け優しく肩を抱きながら、床をジッ…と見つめ唇をギュッと噛み締めていた…
そんな信也の手に真理も優しく手を添えていた。
ある程度の病理診断の話をすると、医師は退院後のことを簡単に付け加えた。
「あと一週間ほどで退院となりますが…退院後も一週間から二週間ほどは出来るだけ安静に…体力回復や便秘や排尿改善のためにも、適度の運動は必要ですけど無理のない程度で…」
そこまで話を終わらすと診察のため看護師が迎えにきた為、医師は真理達に軽く会釈すると、そそくさと立ち去って行った。
「…化学療法かぁ…点滴とかするんだよなぁ…」
それまでずっと黙りこくっていた信也が、ポツリと呟くように言った。
「そうねぇ…私もそこまで詳しくはないけど、抗がん剤治療ていって抗がん剤を点滴で投与する治療法だと思うけど…」
信也の呟きを聞き取った弥生は、自分の今までの経験や知識を思い出すようにゆっくりと答えた。
「抗がん剤…かぁ…」
そこで真理も大きなため息をつきながら吐き出すように呟いた。
「まっ、どちらにしろ、そのことに関しては先生からまた説明があるだろうし?…それに今は真理ちゃんの体調のケアが優先でしょ?あと一週間の入院中は私が通ってくるけど、退院したら信也、あんたが基本的には真理ちゃんのこと助けてあげなきゃいけないんだからね」
重く暗くなっていた場の空気が、輝美の言葉で一瞬で変わった。
「そうね…輝美さんの言うとおりね…あっ…そういえばきちんとお礼も言えてなかったですね…毎日のように真理のお世話をして頂いて…ほんとに有難うございます…」
「あぁ…ほんとに…本来なら我々がすべきことなのに…感謝してます…」
そう言いながら弥生と真司は、輝美に深々と頭を下げた。
「ちょっとぉ~、やだぁ~、やめてよぉ…私は自分がやりたくてやってるんだから…」
「そうですよ…母は母なりにまーちゃんの支えになりたいんだと思います…だから、そんなやめてください…」
弥生と真司の行動に、あたふたと困った様子の輝美の真意を代弁するかのように、信也は笑顔で助け舟を出した。
するとそこへ当の本人、真理が座っていたベットからゆっくりと立ち上がり、両親と輝美のほうを向き深々と頭を下げた。
「えっ…なに?…真理、どしたの?…」
急な真理の行動に、困惑した様子で弥生が声をかけた。
真司と輝美も同様な様子で真理を見つめていた。
そんな三人の前に真理は近寄っていくと、もう一度頭を下げながら自分の感謝の思いを必死で伝えた。
「私…ほんとに…幸せ者です…こんなに自分のこと…色々と気にかけてくれて…お義母さんは毎日のように…パパとママにもこんなに思ってもらって…そして素敵な旦那様もいて…ほんとに…有難うございます…」
そう言って顔を上げた真理の目からは、ポロポロと涙が溢れていた。
それを見た弥生と輝美も、涙ぐみながら真理を優しく抱きよせた。
その横で信也と真司は涙を堪えながら、見守るように三人を見つめていた。
術後に生じる症状として、初めからあった痛みと疲労感に加え出血、排尿障害(頻尿)が現れた…
月経痛のような下腹部の痛み、いくら体を休めても何かがのしかかったように重く感じる疲労感…
月経日でもないのに出血がありナプキン着用…
そして一日に8回以上も排泄に行く、頻尿…
術後入院の為、二週間ほどの病院での療養生活の中、術後の症状に襲われそれに真理は必死で耐えていた。
症状が酷い時は医師に相談すれば治療や薬があるらしいが、そこまでするほどでは…と、耐えていた。
下腹部の痛みも疲労感も、動けないほどでもなく出血も小さめのナプキンで間に合うほどの量…
流石に一日8回以上もある頻尿は、どうしようもなかったが…
それに観察室で先日宣言したとおり、輝美が毎日のように通ってきてくれた。
そして真理の身の回りのことを甲斐甲斐しく世話した。
術後の症状のせいで体が本調子でなく入浴もままならない真理の身体の清拭、トイレへの付き添い…
毎日でる洗濯物は持って帰り洗濯して次の日また持ってくる…
本当に申し訳ないくらいに真理の身の回りのことを細々と世話した。
そんな日々が二日、三日…と続いたある日…
輝美と一緒に信也が訪れた。
そしてその手には、シャンプーやコンディショナー、トリートメントなど洗髪セットが入ったカゴが握られていた。
「体は毎日母さんが拭いてくれてるみたいだけど、シャンプーはあれからしてないだろ?今日は俺がまーちゃんの髪、綺麗にさっぱりしてやるよ…ちゃんと許可も取ってきたしな」
そう言いながら信也は笑顔で持っていた洗髪セットを、真理の目の前に見せた。
「せっかく現役のプロがいるんだし?…ね?」
輝美もニコニコと笑顔で言った。
そんな二人を眺めながら真理は、「やっぱり二人は親子よねぇ…」と、クスッと笑った。
その後、入浴室へ向かった真理と信也は、洗髪専用台でしっかりとトリートメントまで済ませ、満足気に二人して病室へ帰ってきた。
「あら、おかえりなさい…さすが現役の美容師ね…髪、サラサラじゃない?」
病室で待っていた輝美が、やるじゃない…と言うような顔で信也に言った。
「まァな…一応、俺もプロだし?…それに、まーちゃんのためだしな…」
ドヤ顔で返答しながら、少し照れ臭そうに信也は言った。
「しん君、ありがとう…すんごい気持ちよかった…なんだか美容室に行ったみたいで…」
「ぅん…まーちゃんが喜んでくれて、よかった…家に帰ってからだって、いつでもしてやるからさ…」
二人のそんな会話を輝美は微笑ましそうに見つめていた。
それから四日後…
病理診断の結果が出た。
診断の結果の話があることを前日に知らされていた真理が、信也をはじめ両親にも連絡しておいたため、全員が病院へ集合した。
医師の話によると、真理はⅢ期と判断され化学療法が追加される…
その追加治療を含め、さまざまなことを早期に発見し治療に結びつけるためにも、五年ほどの経過観察を行うという…
真理を含め五人は医師の話を黙って聞いていた。
信也はベット横に真理と一緒に腰掛け優しく肩を抱きながら、床をジッ…と見つめ唇をギュッと噛み締めていた…
そんな信也の手に真理も優しく手を添えていた。
ある程度の病理診断の話をすると、医師は退院後のことを簡単に付け加えた。
「あと一週間ほどで退院となりますが…退院後も一週間から二週間ほどは出来るだけ安静に…体力回復や便秘や排尿改善のためにも、適度の運動は必要ですけど無理のない程度で…」
そこまで話を終わらすと診察のため看護師が迎えにきた為、医師は真理達に軽く会釈すると、そそくさと立ち去って行った。
「…化学療法かぁ…点滴とかするんだよなぁ…」
それまでずっと黙りこくっていた信也が、ポツリと呟くように言った。
「そうねぇ…私もそこまで詳しくはないけど、抗がん剤治療ていって抗がん剤を点滴で投与する治療法だと思うけど…」
信也の呟きを聞き取った弥生は、自分の今までの経験や知識を思い出すようにゆっくりと答えた。
「抗がん剤…かぁ…」
そこで真理も大きなため息をつきながら吐き出すように呟いた。
「まっ、どちらにしろ、そのことに関しては先生からまた説明があるだろうし?…それに今は真理ちゃんの体調のケアが優先でしょ?あと一週間の入院中は私が通ってくるけど、退院したら信也、あんたが基本的には真理ちゃんのこと助けてあげなきゃいけないんだからね」
重く暗くなっていた場の空気が、輝美の言葉で一瞬で変わった。
「そうね…輝美さんの言うとおりね…あっ…そういえばきちんとお礼も言えてなかったですね…毎日のように真理のお世話をして頂いて…ほんとに有難うございます…」
「あぁ…ほんとに…本来なら我々がすべきことなのに…感謝してます…」
そう言いながら弥生と真司は、輝美に深々と頭を下げた。
「ちょっとぉ~、やだぁ~、やめてよぉ…私は自分がやりたくてやってるんだから…」
「そうですよ…母は母なりにまーちゃんの支えになりたいんだと思います…だから、そんなやめてください…」
弥生と真司の行動に、あたふたと困った様子の輝美の真意を代弁するかのように、信也は笑顔で助け舟を出した。
するとそこへ当の本人、真理が座っていたベットからゆっくりと立ち上がり、両親と輝美のほうを向き深々と頭を下げた。
「えっ…なに?…真理、どしたの?…」
急な真理の行動に、困惑した様子で弥生が声をかけた。
真司と輝美も同様な様子で真理を見つめていた。
そんな三人の前に真理は近寄っていくと、もう一度頭を下げながら自分の感謝の思いを必死で伝えた。
「私…ほんとに…幸せ者です…こんなに自分のこと…色々と気にかけてくれて…お義母さんは毎日のように…パパとママにもこんなに思ってもらって…そして素敵な旦那様もいて…ほんとに…有難うございます…」
そう言って顔を上げた真理の目からは、ポロポロと涙が溢れていた。
それを見た弥生と輝美も、涙ぐみながら真理を優しく抱きよせた。
その横で信也と真司は涙を堪えながら、見守るように三人を見つめていた。
