手術が終わり麻酔でまだ目を覚まさない真理は、観察室に運ばれた。
信也達、家族の入室も許され、四人は真理が目覚めるのを静かに見守りながら待った。
するとそこへ、手術を担当した中村医師が現れた。
「先生…有難うございました…」
中村医師の姿に気がついた信也は、お礼の言葉を言いながら深々と頭を下げた。
「あっ、いぇ…とりあえず、予定通り手術は終わりました…今はまだ、麻酔がきいていて眠っていますが、もう少ししたら目を覚ますと思いますので…」
「はぃ…本当に、有難うございました…」
そう言うともう一度、信也は頭を下げた。
それに便乗するように、真理の両親と信也の母親も一緒に、深々と頭を下げた。
「では…このあとのことは看護師へ指示してありますから、目が覚めましたらコールででも知らせてください…それでは、またその時に伺います」
そう言い残し中村医師は軽く会釈すると、その場をあとにした。
…それから、15分…いや、20分ほどたって…真理が目を覚ました。
ナースコールをし目覚めたことを知らせると、直ぐに看護師がやって来た。
「仮屋崎さん、目が覚めたんですね…気分はどうですか?痛みとか体に違和感など何かないですか?」
「あぁ~…少し痛みが…あと、体がダルくて重く感じます…」
「そうですか…わかりました…もう少ししたら先生がいらっしゃって、少しお話があると思いますので…それまで、ゆっくりとしておいてくださいね…何かありましたらコールで呼んでください」
真理が目覚めたことと体の状態を軽く確認すると、看護師は部屋を出て行った。
「真理…大丈夫か?痛みとか辛くないか?」
いつもは冷静沈着な真理の父親、真司がまるで壊れ物にでも触れるかのように、オドオドとした様子で真理に声かけてきた。
「パパ…ありがとう…大丈夫よ…心配かけてごめんなさいね…」
目は覚めたもののまだ起き上がることができない真理は、顔を真司のほうへ向け薄っすらと笑いながら答えた。
そんなところへ、中村医師が再度現れた。
「目が覚めたようですね…看護師の話だと、痛みと体のダルさがあるようですが…そのことについての話も兼ねて、術後の後遺症などの話をしたいのですが…大丈夫ですか?」
「あっ…大丈夫です…あの…このままでいいですか?」
「あぁ~…大丈夫、大丈夫…そのまま、ゆっくり横になってて…では…ここにいるご家族の皆さんも一緒に?」
「はぃ…俺は一緒に…母さん達はどうする?」
「もちろん、一緒に聞くわよ…ねぇ?」
信也に聞かれ輝美は、当たり前でしょ…と言わんばかりな表情で答え、弥生のほうを見た。
「えぇ…もちろん、私達も一緒に…」
弥生はそう言いながら、真司のほうを見た。
すると真司は黙って頷いた。
「わかりました…では、私のほうから術後のことなど色々と話していきますね…まずは、先ほどご本人からも訴えがありましたが…痛みと体のダルさについてですが……………」
中村医師の話によると、術後は痛みが生じることもありあまりにも痛みが酷い時には、「硬膜外麻酔」を使用することで痛みを軽減することもできると言う…
そして体のダルさは、やはり身体に手術の疲労感が共なり、回復には少し時間がかかるので体の動きが制限されるということ…
その他にも、膣や子宮からの出血が続くことがあること、手術の影響で排尿障害が起こることがあること、便秘にもなることがあるなど、このあと真理の体に生じる可能性がある症状のことを中村医師は淡々と話していった。
「それから、これはどうしようもないことなんですが…今回、卵巣を摘出しましたので女性ホルモンの減少によって、更年期症状が出ることがあります…」
「え…更年期…症状…?て、あの更年期のことですか?」
中村医師からのこの言葉に一番反応を示し、戸惑う様子をみせながら真理が聞いた。
「はい…そうです…あの更年期のことです…卵巣を摘出したことによって、エストロゲンが減少してしまいます…それによって女性ホルモンが減少してしまい症状が出る可能性があります…」
「あの…症状としては、どんな…?」
「そうですね…人それぞれで個人差はありますが…血管運動神経症状といって、動悸、めまい、息切れなどがありますね…あと、ホットフラッシュといいまして、火照り(ほてり)やのぼせ、あと発汗(はっかん)とかですかね…それと、精神神経症状でいうと、イライラや不安感、不眠、集中力や記憶力の低下があります…その他にも、肩こり、腰痛、関節痛や冷え性、それに頻尿や尿もれも言われてます…あっ、中にはドライアイやドライマウスになる方もいらっしゃるようです」
「ちょっと待って…それじゃ、私達くらいの年齢の女性に出るような症状が、真理ちゃんにも出るってこと?」
それまで黙って横で聞いていた輝美が、嘘でしょ…というような表情で聞いてきた。
「まぁ、はい…そうですね…そうなります…」
輝美からの急な追究に、少し慌てた風な中村医師だったが冷静な返答だった。
「あの…それって、私生活とかに支障とかは…」
輝美に続き今度は弥生が質問してきた。
「基本的には、支障はないかと…ただ、あまりにも症状が酷かったりする時は、受診して頂いてそれなりの治療を受けて頂ければ…」
「そうですか…わかりました…」
「とりあえずセルフケアとして、バランスの取れた食事や適度な運動、あとは十分な睡眠などそれだけでもそれなりのケアになりますので…」
「なるほど…バランスの取れた食事…特にどんな物がいいんでしょうか?」
「そうですね…カルシウムやビタミンD、あとは大豆製品などを積極的に摂取したほうがいいかと…」
「…カルシウムに…ビタミンD…大豆製品…あと、適度な運動と仰ってましたけど…どのような…?」
いつの間に用意したのか、弥生はメモ帳に中村医師が言ったことをメモに取り始めていた。
「運動ですか…そうですね…ウォーキングやストレッチくらいの、無理のない範囲で体を動かす、ということが一番いいですかね…」
「…ウォーキング…ストレッチ…無理のない運動…と…」
「あの…お母さん…一生懸命、記録していらっしゃるところ申し訳ないんですが…あとでそれなりの資料、お渡ししますので…」
メモ帳へ必死に書き留めようとしている弥生に、少し申し訳なさそうに中村医師は言った。
「あらやだ…そうなの?」
持っていたメモ帳を弥生は少し恥ずかしそうにバックの中へ入れた。
「とにかく…その更年期症状の他に、もうすでに症状として出てます痛みや疲労感、それに出血や排尿障害も考えられますので…安静のためにも二週間ほど入院して頂きます…」
「あぁ~…やっぱり直ぐには帰れないんですね…」
中村医師の言葉に、真理はため息まじりに言った。
「そうですね…安静もですけど、術後の観察も兼ねますからね…あっ…それに病理診断もありますから…」
病理診断…それは、手術で切除された病変を病理検査にて、正確な進行期や再発リスクの判定、そしてそこからの追加の治療方針を決める…
「あぁ~、そういえば最初の説明の時に、そんな話してましたね…」
思い出した…と、いうように真理は言った。
「あっ、ではそちらのほうは、説明があってご理解してるということですかね?」
「はぃ…大丈夫です…」
「では…そういうことですので…しばらくは無理しないように、安静に…先ほどお話したような症状が出たりしましたら、必ず直ぐに看護師のほうへ報告してくださいね」
そこまで言うと中村医師は一度、真理の顔を覗き込みニコッと笑うと、信也達のほうを振り向き軽く会釈をすると部屋を出て行った。
その姿を見送ると、それまでずっと黙っていた信也が口を開いた。
「ねぇ、まーちゃん…さっきも言ってたけど、痛みとか酷いの?体も、キツいんだよね?…」
まるで飼い主を心配する子犬のように、真理のそばへ近寄って来た。
「ぅん…確かに、痛みはあるけど我慢できないほどではないよ…ただ…体のキツさが…さっきより重く感じてきて…起き上がるのも一人じゃちょっとキツいかも…」
そう言うと真理は苦笑いしながら信也のほうを見た。
そんな真理の手を信也は両手で包むように優しく握りながら言った。
「そんなの、俺がいくらでも手伝ってやるよ…」
「そうよぉ、真理ちゃん…信也は仕事で来れない日が多いけど、その代わり私が毎日きてお世話するから、心配しないで…」
「えっ…母さん、まぢで毎日来る気?」
「あたりまえよぉ…息子のあなたのフォローをするのが母親の私の役目でしょ?それに、私が真理ちゃんのお世話したいのよ…」
「いゃ…でも、病院には何かあったら看護師もいるし…毎日来なくても…」
「あら、でも真理ちゃんだけを見てるわけじゃないでしょ?それに直ぐに対応ができる存在がそばにいるだけでも、真理ちゃんだって安心だと思うけど?」
「そりゃまぁ…そうだけど…」
自信満々のドヤ顔で言ってくる輝美に、タジタジな様子でほとんど言い返せない信也だった。
「ねぇ、しん君…せっかくお義母さんが来てくれる、て言ってくれてるんだもん…確かに安心だし私は嬉しいよ…」
二人のやり取りを可笑しそう(おかしそう)に笑いながら真理は言った。
「ほら…真理ちゃんだってこう言ってるんだし…いいじゃない?」
今度は勝ち誇ったように、輝美は満面の笑みで言った。
「ですね…本来なら私達がするべきことなんでしょうけど…正直、毎日は無理ですから…輝美さんがそう言ってくれるなら、お言葉に甘えても?…」
「もちろんよぉ…さっきも言ったけど、私が真理ちゃんのお世話をしたいの…役にたちたいのよ…」
申し訳なさそうに、そしてなんだか少し寂しそうな表情でお願いする弥生の手を取り、輝美は慰めるように優しく言った。
「すみません…宜しくお願いします…もちろん、私達も出来るだけ顔出しますから…」
そう言いながら弥生は輝美に握られた手を握り返した。
信也達、家族の入室も許され、四人は真理が目覚めるのを静かに見守りながら待った。
するとそこへ、手術を担当した中村医師が現れた。
「先生…有難うございました…」
中村医師の姿に気がついた信也は、お礼の言葉を言いながら深々と頭を下げた。
「あっ、いぇ…とりあえず、予定通り手術は終わりました…今はまだ、麻酔がきいていて眠っていますが、もう少ししたら目を覚ますと思いますので…」
「はぃ…本当に、有難うございました…」
そう言うともう一度、信也は頭を下げた。
それに便乗するように、真理の両親と信也の母親も一緒に、深々と頭を下げた。
「では…このあとのことは看護師へ指示してありますから、目が覚めましたらコールででも知らせてください…それでは、またその時に伺います」
そう言い残し中村医師は軽く会釈すると、その場をあとにした。
…それから、15分…いや、20分ほどたって…真理が目を覚ました。
ナースコールをし目覚めたことを知らせると、直ぐに看護師がやって来た。
「仮屋崎さん、目が覚めたんですね…気分はどうですか?痛みとか体に違和感など何かないですか?」
「あぁ~…少し痛みが…あと、体がダルくて重く感じます…」
「そうですか…わかりました…もう少ししたら先生がいらっしゃって、少しお話があると思いますので…それまで、ゆっくりとしておいてくださいね…何かありましたらコールで呼んでください」
真理が目覚めたことと体の状態を軽く確認すると、看護師は部屋を出て行った。
「真理…大丈夫か?痛みとか辛くないか?」
いつもは冷静沈着な真理の父親、真司がまるで壊れ物にでも触れるかのように、オドオドとした様子で真理に声かけてきた。
「パパ…ありがとう…大丈夫よ…心配かけてごめんなさいね…」
目は覚めたもののまだ起き上がることができない真理は、顔を真司のほうへ向け薄っすらと笑いながら答えた。
そんなところへ、中村医師が再度現れた。
「目が覚めたようですね…看護師の話だと、痛みと体のダルさがあるようですが…そのことについての話も兼ねて、術後の後遺症などの話をしたいのですが…大丈夫ですか?」
「あっ…大丈夫です…あの…このままでいいですか?」
「あぁ~…大丈夫、大丈夫…そのまま、ゆっくり横になってて…では…ここにいるご家族の皆さんも一緒に?」
「はぃ…俺は一緒に…母さん達はどうする?」
「もちろん、一緒に聞くわよ…ねぇ?」
信也に聞かれ輝美は、当たり前でしょ…と言わんばかりな表情で答え、弥生のほうを見た。
「えぇ…もちろん、私達も一緒に…」
弥生はそう言いながら、真司のほうを見た。
すると真司は黙って頷いた。
「わかりました…では、私のほうから術後のことなど色々と話していきますね…まずは、先ほどご本人からも訴えがありましたが…痛みと体のダルさについてですが……………」
中村医師の話によると、術後は痛みが生じることもありあまりにも痛みが酷い時には、「硬膜外麻酔」を使用することで痛みを軽減することもできると言う…
そして体のダルさは、やはり身体に手術の疲労感が共なり、回復には少し時間がかかるので体の動きが制限されるということ…
その他にも、膣や子宮からの出血が続くことがあること、手術の影響で排尿障害が起こることがあること、便秘にもなることがあるなど、このあと真理の体に生じる可能性がある症状のことを中村医師は淡々と話していった。
「それから、これはどうしようもないことなんですが…今回、卵巣を摘出しましたので女性ホルモンの減少によって、更年期症状が出ることがあります…」
「え…更年期…症状…?て、あの更年期のことですか?」
中村医師からのこの言葉に一番反応を示し、戸惑う様子をみせながら真理が聞いた。
「はい…そうです…あの更年期のことです…卵巣を摘出したことによって、エストロゲンが減少してしまいます…それによって女性ホルモンが減少してしまい症状が出る可能性があります…」
「あの…症状としては、どんな…?」
「そうですね…人それぞれで個人差はありますが…血管運動神経症状といって、動悸、めまい、息切れなどがありますね…あと、ホットフラッシュといいまして、火照り(ほてり)やのぼせ、あと発汗(はっかん)とかですかね…それと、精神神経症状でいうと、イライラや不安感、不眠、集中力や記憶力の低下があります…その他にも、肩こり、腰痛、関節痛や冷え性、それに頻尿や尿もれも言われてます…あっ、中にはドライアイやドライマウスになる方もいらっしゃるようです」
「ちょっと待って…それじゃ、私達くらいの年齢の女性に出るような症状が、真理ちゃんにも出るってこと?」
それまで黙って横で聞いていた輝美が、嘘でしょ…というような表情で聞いてきた。
「まぁ、はい…そうですね…そうなります…」
輝美からの急な追究に、少し慌てた風な中村医師だったが冷静な返答だった。
「あの…それって、私生活とかに支障とかは…」
輝美に続き今度は弥生が質問してきた。
「基本的には、支障はないかと…ただ、あまりにも症状が酷かったりする時は、受診して頂いてそれなりの治療を受けて頂ければ…」
「そうですか…わかりました…」
「とりあえずセルフケアとして、バランスの取れた食事や適度な運動、あとは十分な睡眠などそれだけでもそれなりのケアになりますので…」
「なるほど…バランスの取れた食事…特にどんな物がいいんでしょうか?」
「そうですね…カルシウムやビタミンD、あとは大豆製品などを積極的に摂取したほうがいいかと…」
「…カルシウムに…ビタミンD…大豆製品…あと、適度な運動と仰ってましたけど…どのような…?」
いつの間に用意したのか、弥生はメモ帳に中村医師が言ったことをメモに取り始めていた。
「運動ですか…そうですね…ウォーキングやストレッチくらいの、無理のない範囲で体を動かす、ということが一番いいですかね…」
「…ウォーキング…ストレッチ…無理のない運動…と…」
「あの…お母さん…一生懸命、記録していらっしゃるところ申し訳ないんですが…あとでそれなりの資料、お渡ししますので…」
メモ帳へ必死に書き留めようとしている弥生に、少し申し訳なさそうに中村医師は言った。
「あらやだ…そうなの?」
持っていたメモ帳を弥生は少し恥ずかしそうにバックの中へ入れた。
「とにかく…その更年期症状の他に、もうすでに症状として出てます痛みや疲労感、それに出血や排尿障害も考えられますので…安静のためにも二週間ほど入院して頂きます…」
「あぁ~…やっぱり直ぐには帰れないんですね…」
中村医師の言葉に、真理はため息まじりに言った。
「そうですね…安静もですけど、術後の観察も兼ねますからね…あっ…それに病理診断もありますから…」
病理診断…それは、手術で切除された病変を病理検査にて、正確な進行期や再発リスクの判定、そしてそこからの追加の治療方針を決める…
「あぁ~、そういえば最初の説明の時に、そんな話してましたね…」
思い出した…と、いうように真理は言った。
「あっ、ではそちらのほうは、説明があってご理解してるということですかね?」
「はぃ…大丈夫です…」
「では…そういうことですので…しばらくは無理しないように、安静に…先ほどお話したような症状が出たりしましたら、必ず直ぐに看護師のほうへ報告してくださいね」
そこまで言うと中村医師は一度、真理の顔を覗き込みニコッと笑うと、信也達のほうを振り向き軽く会釈をすると部屋を出て行った。
その姿を見送ると、それまでずっと黙っていた信也が口を開いた。
「ねぇ、まーちゃん…さっきも言ってたけど、痛みとか酷いの?体も、キツいんだよね?…」
まるで飼い主を心配する子犬のように、真理のそばへ近寄って来た。
「ぅん…確かに、痛みはあるけど我慢できないほどではないよ…ただ…体のキツさが…さっきより重く感じてきて…起き上がるのも一人じゃちょっとキツいかも…」
そう言うと真理は苦笑いしながら信也のほうを見た。
そんな真理の手を信也は両手で包むように優しく握りながら言った。
「そんなの、俺がいくらでも手伝ってやるよ…」
「そうよぉ、真理ちゃん…信也は仕事で来れない日が多いけど、その代わり私が毎日きてお世話するから、心配しないで…」
「えっ…母さん、まぢで毎日来る気?」
「あたりまえよぉ…息子のあなたのフォローをするのが母親の私の役目でしょ?それに、私が真理ちゃんのお世話したいのよ…」
「いゃ…でも、病院には何かあったら看護師もいるし…毎日来なくても…」
「あら、でも真理ちゃんだけを見てるわけじゃないでしょ?それに直ぐに対応ができる存在がそばにいるだけでも、真理ちゃんだって安心だと思うけど?」
「そりゃまぁ…そうだけど…」
自信満々のドヤ顔で言ってくる輝美に、タジタジな様子でほとんど言い返せない信也だった。
「ねぇ、しん君…せっかくお義母さんが来てくれる、て言ってくれてるんだもん…確かに安心だし私は嬉しいよ…」
二人のやり取りを可笑しそう(おかしそう)に笑いながら真理は言った。
「ほら…真理ちゃんだってこう言ってるんだし…いいじゃない?」
今度は勝ち誇ったように、輝美は満面の笑みで言った。
「ですね…本来なら私達がするべきことなんでしょうけど…正直、毎日は無理ですから…輝美さんがそう言ってくれるなら、お言葉に甘えても?…」
「もちろんよぉ…さっきも言ったけど、私が真理ちゃんのお世話をしたいの…役にたちたいのよ…」
申し訳なさそうに、そしてなんだか少し寂しそうな表情でお願いする弥生の手を取り、輝美は慰めるように優しく言った。
「すみません…宜しくお願いします…もちろん、私達も出来るだけ顔出しますから…」
そう言いながら弥生は輝美に握られた手を握り返した。
