虐げられた少女は、無償に愛される ~だけど少女は逃げ出したい!~

「はあ、結局千鶴は鬼頭のところに戻るでいいの?」

「うん。生きることを諦めることを諦める」

「そう、じゃあ僕は消えるね」

そう言って私たちに背を向け、部屋の奥にある扉に手をかけた。

「あ、そうそう。結界を壊すの忘れてるや」

パチン、とサキが指で鳴らすと結界が消え一瞬で視界が黒に染まる。

鼻には悠華さんの匂い。

そこで抱きしめられているのだと気づく。

「心配したよ。家に帰ろうか」

悠華さんの優しい声が心を温かくする。

「ねぇ、サキ。なんでサキは私に優しくしてくれたの?」

「んー?今それ聞く?」

今にもこの部屋から出ようとするサキを引き留め、ずっと疑問に思っていたことを聞く。

「そういや、早樹。君は千鶴のことを壊れ物を扱うように触れていたね」

悠華さんは首を傾げ、早樹を見つめる。

もしサキが私のことをそんな風に接していたのなら、なぜなのか気になってしまう。

「・・・似ていたからだよ」