「まったく、どうにもできないと分かっていて、どうして手を出すのか。と言うか、どう考えたって、奴らは勝てんだろう」
俺はいま、あまり聞きたくない報告を受けている。
「イントッシュ様! そう言うことを口にされては」
「だってそうだろう、ブレンドン。金のことばかりで他のことは空っきしの連中だぞ。その金だって、奴らが住民達から無理やり取り上げて、自分達の物にしているだけだからな。税をあげてな。それしかできない連中が、あの森に手を出すなんて」
「間違ってはいませんが、この前の出来事のせいで。誰がどこで何を聞いているか分からないのですよ。まぁ、彼らには聞かれても良いでしょうが。わざわざ各国へ、警告をしてきた彼らになら。ですが面倒な者達もいるのです。もしもを考えて……」
「俺がそんなヘマするか。ここには信頼できる奴らしかいないし、何も仕掛けられていないさ。……俺が気づかない奴らの魔法以外はな」
「はぁ、イントッシュ様……」
「まったく、いつもいつも邪魔しやがって。奴らは迷惑以外の何でもないって、いつも言ってるだろう。こっちは近々向こうと、話しをしたと思っていたのに」
「今の状態では、話しをしたいと連絡を取ろうにも、森まで辿りつけるかどうか。という感じでしょうかの」
「ああそうだ、ハドスン。向こうはしっかりと、俺達を見ているからな。あの森を訪れる者達を、全て監視しているんだ。俺達なんて監視対象の上位だろうからな。下手したら本当に、話しをする前に殺されかねない」
「ですが殺意がないことも分かっているはず」
「俺達があの森へ、ただ遊びに来ただけの奴らに見えるか? まだあの森に何もしていないとはいえ。魔王や勇者にとっては、俺達は今のところは敵だからな。はぁ、まったく。俺達が動こうとするタイミングで動きやがって」
「しかしイントッシュ様、これは逆に絶好の機会かもしれませぬよ」
「絶好の機会?」
「はい。あの事件で、問題を作ったあの国は、完全に動きを止めております。そして今回警告を受けた国々も、あの国を恐れ動きが鈍くなっている。他の国の動きが鈍くなっているうちに、誰にも邪魔されず、我々があの国へ近づけられたのならば」
「……チャンスはあるか」
「可能性はあるかと。こちら側にも向こうへ付かぬよう、邪魔をしてくる者達がいるのが現状。前回の接触は2ヶ月ほど前でしたが。今はその動きも完全に止まっております」
「よし! じゃあ今すぐ動くぞ!!」
「は? 何を?」
「だから、すぐに動くって言ってるんだよブレンドン。今すぐ用意しろ!!」
「そんなことできるわけないでしょう! バカなんですか! 動くには他の方々をお呼びし、最終確認をしなければならないのですよ!」
「バカってお前、俺はこの国の……」
「これから関係者全員を集めて、最終確認を行います。それまで絶対に勝手に動かないように! 良いですか、絶対です!! まったく、あなたはきっとあの勇者と、気が合うでしょうね!!」
バタバタバタッ! バタンッ!!
「……あいつ、俺を何だと思っているんだ? 俺はこの国の王だぞ」
「イントッシュ様、私は確かに絶好と申しましたが、今この時とは申しておりませんよ。ブレンドンいう通り、それを行うには、順序というものがあります」
「お前が、相手は今完全に動きが止まっている、と言ったんだろう? なら今じゃねぇか」
「ですから……。はぁ。ブレンドンが動いていますからね。すぐに動けるようにはなるでしょう。ですがそうですね。それまでの間、イントッシュ様はこちらをやっていただきましょう」
ドンッ!!
「……何だ、これは?」
「イントッシュ様がお溜になられた、書類の山でございます。あちらへ行く事になれば、その間の書類がさらに溜まる事に。まずはこちらを全て終わらせていただきます」
「待て待て、ブレンドンが皆を集めて話しをすれば、すぐに動けるんだろう? なら、これを終わらせる時間なんて」
「勿論、こちらが終わらなければ、ここからはお出しできません」
「おい、ハドスン!!」
「さぁ、すぐにお始めください。モタモタしていては、絶好の機会を失うかも知れませぬよ」
「チッ、こんな書類の山、すぐにでも」
「ああ、こちらにもございましたね」
ドスンッ!! ドスンッ!!
「……」
「さぁ、お急ぎください」
「ハドスン、お前はブレンドンの方へ行かなくても良いのか?」
「私はすでに、こういう場合の計画については、全て把握しております。ですのでここにいる事に、問題はございません」
「そうなのか? だがお前も行くとなると、お前自身も片付けてしまっておきたい仕事があるんじゃ」
「そちらも問題ございません。イントッシュ様のように、仕事を溜めるようなことは致しませんので。ですがそうですね、強いといえば今ここに用意しました書類を、イントッシュ様が確認し、それをさらに私が確認するのが仕事でしょうか」
「……」
「確かこの書類は、先月にはイントッシュ様の確認が終了しており、私の確認も終わっているはずなのですが? それにこちらも。私はいつになれば、休みをいただけるのでしょか?」
「……すまん」
「お分かりいただけたようで」
俺は書類の山々を見る。
「……俺はあの場所へ行けるのか?」
俺はいま、あまり聞きたくない報告を受けている。
「イントッシュ様! そう言うことを口にされては」
「だってそうだろう、ブレンドン。金のことばかりで他のことは空っきしの連中だぞ。その金だって、奴らが住民達から無理やり取り上げて、自分達の物にしているだけだからな。税をあげてな。それしかできない連中が、あの森に手を出すなんて」
「間違ってはいませんが、この前の出来事のせいで。誰がどこで何を聞いているか分からないのですよ。まぁ、彼らには聞かれても良いでしょうが。わざわざ各国へ、警告をしてきた彼らになら。ですが面倒な者達もいるのです。もしもを考えて……」
「俺がそんなヘマするか。ここには信頼できる奴らしかいないし、何も仕掛けられていないさ。……俺が気づかない奴らの魔法以外はな」
「はぁ、イントッシュ様……」
「まったく、いつもいつも邪魔しやがって。奴らは迷惑以外の何でもないって、いつも言ってるだろう。こっちは近々向こうと、話しをしたと思っていたのに」
「今の状態では、話しをしたいと連絡を取ろうにも、森まで辿りつけるかどうか。という感じでしょうかの」
「ああそうだ、ハドスン。向こうはしっかりと、俺達を見ているからな。あの森を訪れる者達を、全て監視しているんだ。俺達なんて監視対象の上位だろうからな。下手したら本当に、話しをする前に殺されかねない」
「ですが殺意がないことも分かっているはず」
「俺達があの森へ、ただ遊びに来ただけの奴らに見えるか? まだあの森に何もしていないとはいえ。魔王や勇者にとっては、俺達は今のところは敵だからな。はぁ、まったく。俺達が動こうとするタイミングで動きやがって」
「しかしイントッシュ様、これは逆に絶好の機会かもしれませぬよ」
「絶好の機会?」
「はい。あの事件で、問題を作ったあの国は、完全に動きを止めております。そして今回警告を受けた国々も、あの国を恐れ動きが鈍くなっている。他の国の動きが鈍くなっているうちに、誰にも邪魔されず、我々があの国へ近づけられたのならば」
「……チャンスはあるか」
「可能性はあるかと。こちら側にも向こうへ付かぬよう、邪魔をしてくる者達がいるのが現状。前回の接触は2ヶ月ほど前でしたが。今はその動きも完全に止まっております」
「よし! じゃあ今すぐ動くぞ!!」
「は? 何を?」
「だから、すぐに動くって言ってるんだよブレンドン。今すぐ用意しろ!!」
「そんなことできるわけないでしょう! バカなんですか! 動くには他の方々をお呼びし、最終確認をしなければならないのですよ!」
「バカってお前、俺はこの国の……」
「これから関係者全員を集めて、最終確認を行います。それまで絶対に勝手に動かないように! 良いですか、絶対です!! まったく、あなたはきっとあの勇者と、気が合うでしょうね!!」
バタバタバタッ! バタンッ!!
「……あいつ、俺を何だと思っているんだ? 俺はこの国の王だぞ」
「イントッシュ様、私は確かに絶好と申しましたが、今この時とは申しておりませんよ。ブレンドンいう通り、それを行うには、順序というものがあります」
「お前が、相手は今完全に動きが止まっている、と言ったんだろう? なら今じゃねぇか」
「ですから……。はぁ。ブレンドンが動いていますからね。すぐに動けるようにはなるでしょう。ですがそうですね。それまでの間、イントッシュ様はこちらをやっていただきましょう」
ドンッ!!
「……何だ、これは?」
「イントッシュ様がお溜になられた、書類の山でございます。あちらへ行く事になれば、その間の書類がさらに溜まる事に。まずはこちらを全て終わらせていただきます」
「待て待て、ブレンドンが皆を集めて話しをすれば、すぐに動けるんだろう? なら、これを終わらせる時間なんて」
「勿論、こちらが終わらなければ、ここからはお出しできません」
「おい、ハドスン!!」
「さぁ、すぐにお始めください。モタモタしていては、絶好の機会を失うかも知れませぬよ」
「チッ、こんな書類の山、すぐにでも」
「ああ、こちらにもございましたね」
ドスンッ!! ドスンッ!!
「……」
「さぁ、お急ぎください」
「ハドスン、お前はブレンドンの方へ行かなくても良いのか?」
「私はすでに、こういう場合の計画については、全て把握しております。ですのでここにいる事に、問題はございません」
「そうなのか? だがお前も行くとなると、お前自身も片付けてしまっておきたい仕事があるんじゃ」
「そちらも問題ございません。イントッシュ様のように、仕事を溜めるようなことは致しませんので。ですがそうですね、強いといえば今ここに用意しました書類を、イントッシュ様が確認し、それをさらに私が確認するのが仕事でしょうか」
「……」
「確かこの書類は、先月にはイントッシュ様の確認が終了しており、私の確認も終わっているはずなのですが? それにこちらも。私はいつになれば、休みをいただけるのでしょか?」
「……すまん」
「お分かりいただけたようで」
俺は書類の山々を見る。
「……俺はあの場所へ行けるのか?」

