誰のものにもならないで、と思った相手がスクールカースト上位の男だった。
「なんで避けんの」
 愛想がないくせに女子受け抜群で、自分に好意がある人間には容赦なく棘を向ける。
 告ったらきっと明日から学校で生きてけねえなって思ってたのに。
「付き合うって話はどこいったんだよ」
 おかしいだろ、こいつに押し倒されてるって。
「好きって言ったのはそっちだろ」
「だって……俺、男だし」
「だからなんだよ」
 そんな顔、一回だって見せてくれたことなかったのに。
「今さら手放せるわけねだろ」