「結局は、安寧は人を殺すってことね。何かしら挑戦しないとぉ……」
「ささらが、前よりも生き生きしちゃって、良かったよ」
 あの後、ラルムの三人はマネージャと話し合ったそうだ。
 マネージャも乗り気で、新しい方向を探る上でも、一曲やってみることとなった。
 とはいえ、楽曲や衣装の手配はそう簡単ではないので、今まさに進捗している状況だ。
 ささらはかなり乗り気で、毎日テンションが高い。今日も朝から打ち合わせで事務所に行ってしまった。兼務のバイトは大丈夫なのだろうか?
「できた! ね、この構図どう?」
「……どれどれぇ……」
 私はできた漫画の一部を里央に見せる。
「うん。良いと思う……それで、作った本だけど……本当にやる気?」
「うん! やっちゃうよ!」
「抽選で落ちそうな気がするけど……まぁ、頑張ってね」
 私は自分が作った猫を、どうしても広めたい。
 その結果、冬コミに出すことにした。もちろんやったこともないので、調査しながらだけど。
 個人サークルだし、抽選で落ちる方が確率的に高いかもしれない。でも、やって見るだけタダだしね。
「桃って、勢いに乗せると怖いよね。ブレーキが外れると、一気に突っ込んでくる感じ」
「そう? やったね!」
「……はぁ」
「ん? ノってないね。何かあったの?」
「ううん、行き詰まってるだけ。アニメを作って……作ったところでその後でどうしようかな、とか不安ばっかり……歳を取ると余計にねぇ……」
「そうなの? 今までのアニメはどうしてたの?」
「え? 今まで? 今までもなにも……完成してないだけ」
「……え? 仕事辞めて……どのくらいだっけ?」
「たぶん、八年かな……」
「そ、そうなんだ……アニメ作るのって、大変なんだね……」