君との初めての出会いはまぁ最悪だった。
断れない状況で登場した君はこちらの気持ちを知る由もなく、渋い表情でそこに佇んでいた。私は恐る恐るそれを見つめ、時間が過ぎるのを待った。が、欲求には敵わない。恐る恐る口をつけ、静かに一口啜った。と同時に喉の奥を何かが刺した。それは形容し難いなにかだった。鼻に抜けることもなく、私の中にずっと留まっている何か。物理的な攻撃というよりかは精神的な攻撃とでも言おうか。それは私を苦しめながらも、相変わらず渋い表情のままだった。
次第に視界が左右に揺れ始め、そしてついに意識が遠のき始めた。
それくらいの衝撃だった。もう二度と口にすることはないだろう。そう信じて疑わなかった。
5年後、特に意味もなくそれを口にした時は再び衝撃を受けた。
その刺激に感動を覚えたのだ。玉露の香りが鼻をすっと抜け、苦味の中にひっそり顔を出す甘さ。あの頃覚えた刺激は私の目を覚まさせ、快感に変えた。これは老化で感覚が鈍ったからだろうか。こればかりは不思議と嫌な気はしなかった。
以来、私は彼の虜で、毎日一緒に出かける、大切な相棒となった。