結局、あたしたちは朝のSHRが始まるギリギリまで外見を整えて、化粧が崩れる前に少しだけ写真を撮りあった。
校庭に出て開会式を迎えるまでの間、他クラスにいる仲の良い友達や知り合い達に、可愛い、だなんて一通りの褒め言葉のシャワーを浴びて、あたしの体育祭がはじまる。
体育祭にはこんなに気合い満タンって感じだけど、あたしはバドミントンとリレー以外の種目には出ない。
あとは基本的に、自分のクラスの応援と、藍が出る種目は藍の応援、あとは出会った人たちと写真を撮りまくるって感じで、まあ、何が楽しいのかって言われたら困るけれど、とにかくあたしはこういう学校行事は好き。
開会式では、実行委員代表の挨拶として、委員長である藍が壇上に上がり、「全力で楽しみましょう」みたいな、そんなことを言って、みんなから大きい拍手をもらった。
近くにいた真昼から小突かれながら、彼氏かっこいいじゃん! みたいなだる絡みをされるたび、ちょっとやめてよ、なんて口先では言うけれど、実際のところあたしの心は高揚していて、なんだか誇らしい気持ちにもなる。
だってやっぱり、体育祭実行委員の委員長で、背が高くて、格好良くて、運動神経も抜群で、社交的な藍なんて、どう考えてもみんなの注目の的になってしまうけど、その人の彼女が自分だっていう事実は、やっぱり気持ちが良い。
藍が好きなんじゃなくて、藍と付き合ってる自分が好きなんでしょ、なんていうばかばかしい陰口を叩かれそうな気もするけれど、それは少なからずそうだし、だから何って感じだし。
もちろん、藍のことはしんから愛しているし、格好いいって思うけど、みんなから憧れられる人と付き合えるのが誇らしいって思うのは、おかしいことじゃないと思う。