「だから冬くん、高校通ってないんだね」
「……は?」

覚悟していたのと全く違う言葉が来て、キョトンとしてしまう。

いや、のぞみの言ってることは正しいんだけど、今そこじゃなくね?

そう、ついつい頭の中でつっこんでいた。


「そう、だけど。え、それだけ?」

あまりにも拍子抜けして、逆にこっちから聞いてしまった。だって、普通はもっと同情した素振りとか、ひいたりとかするもんだろう。

「うん。えっと、むしろ他に何かある?」
「可哀想だね、とか、何それ気持ち悪い、とか」

俺が言ったことにのぞみは少し驚いて、それから吹き出した。

「えー、何それ! そんなん思うわけないじゃん」

くすくす笑いながら、そう言う。俺はもうキョトンを通り越して、開いた口が塞がらない状態だった。

「可哀想って、私も重い病気だし、どっちもどっちじゃない? それに、気持ち悪いなんて子供じゃないんだから。世界には色々な人がいるってわかってたら、そんな感想でないよ」

面白そうに、しかし堂々と言い切ったのぞみは凛としていた。