やがて、涙は自然と収まっていった。胸元を握る手も緩まる。

俺は来年の春もこの景色をを見ることはできるのだろうか。
そう、ふと不安になる。


もしかしたら急に命を落とすかもしれない。
冬以外にも眠るようになってしまうかもしれない。
目覚めたら体調が悪くなっているかもしれない。

俺の体質は治る見込みがないだけでなく、悪化する可能性を秘めている。だから、怖い。

俺はそんな考えを振り払うように、頬を軽く叩いた。
これからまた新しい生活を始めなくてはならないのだ。ネガティブではいられない。


改めて、空に向かって咲く桜を仰ぐ。

小さい花なのに、堂々と自分の生を誇っているように見える。その姿はやはり美しい。


俺は一時間弱ほど桜を見て、その公園から出ていった。
これから先の人生への不安を少し抱えながら。