えっ?今、俺って言った?」
しまった!
この時の私はもう、中学校生活は終わったと思っていた。いつもはこんな間違いはしないのに、どうして…
きっと私は顔が真っ青だったと思う。
その言葉を掛けられるまでは。
「もしかしてだけど、優希ゆきちゃんはFtMなのかな?」
心臓がどくりとなる。
FtM、これは女性として生まれ、男性の心を持つ人の事。
逆ももちろんある。
MtF、男性として生まれ、女性の心を持つ人の事。
私は…FtMだ。
家族にも友達にも誰にも言ってない。
だから本当に焦ってしまった。
「大丈夫だよ!」
私は驚いて顔を上げる。
「安心してよ!私は絶対に誰かに行ったりしないから!だから、話したいことがあるなら全部話しちゃって!」
とても驚いた。
でも同時にとても、とても嬉しかった。
まさかこんなことを言ってくれる人がいるなんて思ってもみなかった。
私は話した。話を聞いてくれるのがとても嬉しかったんだ。
「そっかぁ〜。大変だね。でも大丈夫!これからは私がついてるからね!」
そこからは記憶が朧気でよく覚えていない。