菜々と出会ったことは天城楓花にも報告した。というのも、前世で彼女を奪い合った過去があるからだ。

 その時はどういうわけか「俺」の方に彼女が流れてきてくれたけど、ケンに勝てたと断言出来る数少ない要素かもしれない。頭は向こうの方がずっと良かったけど。

 報告はLINEのメッセージで行った。文字を打つのが大変だったけど、ネットの誹謗中傷が怪我の功名みたいな感じで菜々との再会へと行き着いた話を説明した。

「そうか。彼女も大丈夫だったか」

 そっけない返信。

 こっちは説明のために長文を打ってるのにとは思ったけど、短い文章からは安堵が滲み出ているようにも見えた。

 楓花に転生しても、ケンは菜々のことを心配していたようだ。

「そう。まだ彼女の中で折り合いをつけないといけないところはあるだろうけど、それを少しずつでも支えていこうと思ってる」

「そうしてあげたらいいよ」

 昔に読んだライトノベルだと、こういう転生って前の人生が最悪過ぎるから死んだら何もかもがリセットされてっていう感じだったと思うけど、実際にこういうことが起こると残された人が悲しんだり過去を引きずって苦しんでいることだってあるんだよね。

 運命の女神もそれを伝えたかったのかな?

 ……いや、あのギャルに限ってそれはないか。