酒呑童子が封印された後、時間が無事動き出した。

「よかった。お祭りが中止にならなくて」

真白は、バスの中で隣の要に言った。

「そうだね。あのあとは、春香の具合も良くなったみたいだし」

春香は、修学旅行が終わるまでの間、凪の屋敷で休ませてもらっていた。

(結局、いろいあって、湊さんに何も聞けなかった…)

桜咲家のことについて教えてもらうつもりでいたが、話ができないまま帰ることになってしまった。

「今は、私が調べられることを調べてみよう」

真白はそうつぶやいた。


その頃、神宮家の屋敷には渚と湊が来ていた。

「まさか、今回の件に酒呑童子が絡んでいたとはな」

「しかも玄道家に養子がいたなんて初めて聞きました」

二人の話を聞いていた琉晴が口を開いた。

「酒呑童子のことは俺もわからなかった。他の子達まで巻き込んでしまってすまなかった」

琉晴は頭を下げた。

「それと葵は、充の代わりをしているんだ。今、充は入院しているから」


葵は、自分の部屋のベットに横になっていた。

「全く、今回のことを充が知ったらどう思うだろうな」

ヤマトタケルが葵に言った。

「…玄武は?」

「充のところ」


「久しぶり。玄武」

病院のベットに、一人の青年がいた。

「葵とは、仲良くしてる?」

「あぁ、だが、まだまだ私を使いこなすには程遠いな。剣の腕は良くなったが」

「そっか。俺も早く良くならないとね」