「その後すぐに前世の記憶が戻った。私は帝の娘である妖に狙われていた。その私を守るのがあなたの役目だった。でも…あの日、あなたは私のそばにはいなかった」

琉晴は俯いた。

「お前はあの時、双子の赤子のところへ向かっていたのだろう。鬼神を止めるために」

酒呑童子が言った。

「帝は正妻との娘の他に巫女の女の間にも子供がいた。その双子を助けている間に私に連れ去られてしまった。なんとも哀れなことだ」


「で、ここどこなの?」

「私に聞かないでよ。わかるわけないでしょ?」

恵と由紀が歩きながら言った。

「それより、なんで屋敷にあいつがきたの?」

「あいつに、私たちは千年前に負けた」

「でもその後、封印した人がいたんでしょ?封印が解かれたってこと?」

「多分」


そこまで話して、近くで大きな音が聞こえた。

「何?今の音」

「あっちから聞こえた」

二人は音のした方に向かった。

「いって…」

「拓海、もう少しマシなやり方なかったの?」

「しょうがないだろ。あんなところずっと歩いてたら帰れなくなる」

そこには、誠と拓海、要と隼人がいた。

「誠!拓海!」

「由紀、恵!」

「あんたたち何やってんの?」

「拓海が場所を移動する術を使ったんだ。そしたら着地に失敗して…」

後ろでは要と隼人が頭を押さえていた。

「あ、二人とも大丈夫?」

誠が声をかけた。

「はい…」

「大丈夫です…」

「ところで、ここがどこだかわかる?」

日和が誠に聞いた。

「ここはおそらくかくりよ。妖たちが住んでいる世界だ」

「じゃあ、早くここから出ないと」

「でも、ここからどこに行ったらいいのか、よくわからないんだ」

その時、要の持っていた札が光った。

「私が案内します」

青年が出てきた。

「わかるのか?」

「はい。ここには何度かきていますから」

そう言って、烏の姿になった。

「私についてきてください」

要達は烏の後をついて行った。



「霧人…何をしたの?」

清華は部屋に倒れている少女を見て言った。

「義姉上。この者なら毒を飲んで死にましたよ」



春香はそこで目を覚ました。

「本条さん、大丈夫?」

春香は湊におぶられていた。

「湊さん…なんで」

「さっき姉さんたちと会ったんだ。気分はどう?」

「大丈夫です」

「よかった。もうすぐここを出られると思うから」