「いたた…ここ、どこ?」

真白は、森のような場所で目を覚ました。

「あれ?紫音は?」

一緒にいた紫音がいなかった。

「別の場所にいるのかな?」

真白は立ち上がって、辺りを見渡した。

(ここ、なんか嫌な感じがする…)

周りに生き物の気配はなく、しんと静まり返っていた。

「とにかく、紫音を探さないと」

真白は森の中をゆっくりと歩き出した。


その頃、紫音は古びたお寺の中にいた。

「なんでこんなところに…」

紫音は立ち上がって言った。

「真白は…ここにはいないのか」

周りを見ても、紫音以外の人の気配はしなかった。

「とりあえず、外に出て探してみるか」


「高嶺先生、まだ戻ってこないのかな」

夕食を食べ終えた要達は、それぞれの部屋に移動していた。

「もう一時間くらい経ってるよね?いくらなんでも変じゃない?」

そんなことを話していると、曲がり角のところで怒鳴り声が聞こえてきた。

「それはどういうことだ!」

要達は恐る恐る顔を覗かせた。

「…俺にもよくわからないんです。突然あいつが現れて」

話をしていたのは、湊と琉晴だった。

「真白ちゃんと紫音もまだ見つからないようですし、もうすぐ祭りが始まるのに…」

「それに加えて、渚までいないなんて…」

湊と琉晴の二人は頭を抱えていた。

どうやら、こっちでも何かあったようだ。

「やっぱり、探しに行った方がいいんじゃ…」

「ダメよ」

要がつぶやいた時、沙羅がやってきた。

「あなたたちも祭りに参加しなきゃいけないんだから」

「でも、いない人たちの穴埋めはどうするんですか?」

花蓮が訊ねた。

「大丈夫。なんとかするから」


「一体どこだ…ここは…」

渚は祠の前で目を覚ました。

(あいつ…よくも騙してくれたな)

慧の姿をしてはいたが、あれはあやかしの気配だった。

「戻ったらお礼をしてやらないとな」

すると、誰かがこちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。

「渚?どうしてこんなところにいるんだ?」

「慧…」

やってきたのは慧だった。

「…本物だよな?」

「なんの話だ?」

慧が首を傾げた。

「なんでもない。少し散歩に出たら迷ったんだ」

「何やってるんだ。もうすぐ祭りが始まるんだぞ」

「そういうおまえは何してるんだ。おまえだって祭りに参加するだろう」

「俺は柏木と紫音を探しに来たんだ。自由時間の時に二人ともいなくなったらしくてな。千輝も探しているはずなんだが、会わなかったな」

「とにかく、屋敷に戻るぞ」


琉晴は、自分の部屋に戻っていた。

「あいつ、屋敷のどこにもいなかった。もうすぐ祭りが始まるのに…」

おまけに人が次々と消えている。