「お前達、もう夕食の時間だ。食堂に移動しないといけないだろ」

話し込んでいたところに慧が通りかかった。

「でも、真白と紫音がいないって…」

隼人が言うと、慧は諭すように言った。

「できるだけ大事にならないように探す。湊にも声をかけて探してもらってるんだ。だからおまえ達はまず食堂で夕飯を食べてこい」

「…わかりました」

要が答えて、四人は食堂に向かった。

「俺も探しに行くか」


「姉さん、入っていい?」

湊は、渚の部屋の前で声をかけた。

「あぁ、大丈夫だ」

湊は襖を開けて中に入った。

「どうだ?二人は見つかったか?」

渚の問いかけに湊は首を振った。

「見つからなかった。一体どこに行ったんだろう?」

「もうすぐ祭りの時間になる。私は百鬼夜行がある場所にいる。その時に術をかけて探してみよう」

「ありがとう。姉さん」

その時、再び部屋の外から声がした。

「渚、俺だ」

外からは、慧の声がした。

「慧か。どうした?」

「昼間言っていたお面を貰いに来た」

「あぁ、そうだったな。今渡す」

渚がそう言って取り出したのは、黒い狐の面と白い狐の面だった。

「私が持っているのは狐の面だけなんだ。湊、おまえも持っていろ」

「わかった」

湊は白い狐の面を受け取った。

渚は、襖を開けて、慧にお面を渡そうとした。

「…!おまえは…!」

渚がそう言うのと同時に、一瞬にして消えてしまった。

「姉さん!」

湊が声をあげてさっきまで渚のいたところに行った。

「おまえ…!」

湊は、渚を消してしまったであろう相手を問いただそうとしたが、すでにそこには誰もいなかった。