そして、あっという間に修学旅行の日が近づくいてきた。

「明日は修学旅行か」

真白は、教室から外の景色を見ながらつぶやいた。

外はすっかり秋の景色に色を変えている。

「明日の修学旅行、楽しみ!」

「お土産何買う?」

他のクラスメイトたちはそんな話題で盛り上がっていた。

(何事もなく過ごせますように)

真白は心の中で願った。


そして、修学旅行当日。

新幹線に乗って、京都に出発した。

「楽しみだね」

真白の隣には、天音が座っている。

「うん」

みんな浮かれているのか、新幹線の中は賑やかだった。

「他のみんなは、どこに座ったのかな?」

真白と天音が座っている席は、前の方だったので、要たちを探すのは難しかった。

「真白は、紫音と一緒の班でしょ?」

「うん」

「紫音、方向音痴だから気をつけてね」

「そうなの?」

「かなりだよ。去年の夏祭りだって全然違う方向に行ったって言ってたし。要がいたから良かったけど」

真白はクスクス笑った。

「わかった。気をつけるね」



「いよいよ、今夜だな」

京都では渚が家で鬼灯(ほおづき)提灯(ちょうちん)を持っていた。

「渚」

晶が部屋に入ってきた。

「今日は修学旅行で人が多いから、追加で提灯作ってくれたんだって」

「そうか。何も問題なく終わればいいな」

「そうだね。俺は神儀りの方に行くけど、何かあったら連絡してね。俺も何かあれば連絡するから」

「わかった」


慧と千輝は、後ろの方の席に座っていた。

「俺たち、こんな後ろの方に座ってて、大丈夫なんでしょうか?」

「平気だろ。俺たちは補欠みたいなものだからな」

慧が欠伸をしながら言った。

「寝不足ですか?」

「少しな。昨日寝るのが遅くなったんだ」

その時、慧のスマホに渚からメッセージが届いた。

『こっちの準備はできたから安心しろ』

(本当に俺たちも参加させるのか…)

生徒の見回りも兼ねていれば大丈夫だろう。

続けて、メッセージが届いた。

(お面も忘れるな…?なんでそんなものが必要なんだ?)

百鬼夜行に初めて参加する慧はよくわからなかった。

(着いてから聞けばいいか)

新幹線は、京都に向かって順調に進んでいた。


沙羅は、神儀りの時に舞う神楽の衣装を鏡の前で見ていた。

(大丈夫、きっとうまくいく)

そう自分に言い聞かせていた。

去年の神儀りでは、最後まで舞うことが出来なかった。

(今年こそ、絶対に最後までやり遂げる)