校舎の外に出ると、空はすっかり夕日に染まっていた。

「じゃあ、また明日」

「またね」

真白は家の近くで隼人と別れた。

「ただいま」

玄関先でそう言ってから部屋に入った。

「疲れた…」


どうやらそのまま眠ってしまったらしい。

部屋の中は真っ暗だった。

「私、帰ってきてからすぐに寝ちゃったんだっけ?」

瞼を擦りながら体を起こした。

そのまま部屋を出るとあることに気づいた。

(ここ、私の家じゃない!)

「お呼びですか?帝」

男性の声が聞こえてきた。

「そなたに頼みたいことがある」

「何なりと」

(あの人たちは…)

真白は見つからないようにしながら二人の会話を聞いていた。

「あやかしの討伐に、おまえも一緒に参加してほしい」

「私が、ですか?」

「今回のあやかしはなかなか手強い相手のようだ。このままでは、さらに被害が大きくなる。やってくれるか?」

男性は帝に向かって深々と頭を下げた。

「承知致しました」


真白が目を覚ましたのは布団の中だった。

(今の、夢だったの?)

今度は自分の部屋だった。

「君、うなされてたよ」

横には蘇芳がいた。

「夢を見てて…」

「どんな夢?」

「私はある屋敷で目を覚まして、帝と一人の男の人が話してた」

「帝…」

蘇芳は険しい顔になった。

「蘇芳は帝を憎んでいるの?」

「そうだね。今はだいぶ薄れて入るけれど、前までは憎くて仕方がなかったな。もしあの時の陰陽師に会ったら、一言何か言ってやりたいな」