そして、夏休みが終わり、二学期始まった。

「真白、おはよう」

春香声をかけてきた。

「おはよう。春香」

「結局、中途半端なまま夏休み終わっちゃたね」

あれからも夏休みが終わるまでは、色々調べてはいたのだが、いい収穫はないまま、夏休みが終わってしまった。

湊はその直後、京都に戻ってしまった。

「このままにしちゃダメな気がする…」

「そんなこと言ったってどうするの?私たちだけでできることなんて少ないでしょ?」

「高嶺先生と冴島先生がいるよ」

「でも二人とも最近忙しそうにしてたよ。夏休み中、部活に来た時に見た」

「…そっか」

それではどうすればいいだろう?

「そんなに気にしすぎることないよ」

「え?」

「真白は真白にできることを一生懸命やってれば、大丈夫だと思うよ」

「そうかな?」


春香にそう言われて、真白はあまり気にしないようにしていた。

しかし、その日の夜の事。

真白は夢を見た。

夢にはたくさんの人と太鼓の音や鈴の音が聞こえてきた。

どうやら何かの祭りのようだ。

真白は学校の制服を着て、立っていた。

どこか不安そうな顔をしている。

真白は誰かに肩を叩かれて、そのまま倒れてしまった。

夢は、そこで終わった。

「…何?今の夢」

真白は目を覚まして、体を起こした。

何か良くない感じがした。




そして、数日が経過した。

その日は学校で、修学旅行の班決めを行なっていた。

真白は、紫音と同じ班になった。

「ちょうどみなさんが修学旅行に行く時は、京都で大きなお祭りがあるそうです。誰でも参加できるそうなので、ぜひ参加してください」

「真白、真白!」

隼人に声をかけられて、真白は我に返った。

「どうしたの?隼人」

「今日、先生に授業で使った資料、旧校舎に運ぶように言われてたでしょ」

そうだった。

すっかり頭から抜けていた。

「今、何時?」

時計を見ると、最終下校時刻まであと少しだ。

「どうしよう。今日中にって言われてたのに」

「よかったら、手伝おうか?」

困っている真白にそう隼人は言った。

「本当に?」

「うん」

「ありがとう。隼人」


二人で資料を持って廊下を歩いた。

「この間、不思議な夢を見てね」

「夢?」

真白は隣を歩く隼人にこの前見た夢の内容を伝えた。

「俺も最近、前世の夢をよく見るんだ」

「そうなの?」

「彩葉たちと出会ってから、夜叉が亡くなるまでの夢を繰り返し」

「なんでなんだろう?」

「俺にもよくわからないんだ」

旧校舎に着いた。

そこの資料室に、運んできた資料を置いた。

「よし。帰ろう」