「充」

琉晴は、真面目な声で充を呼んだ。

「なんですか?そんなに真面目な顔をして。あなたらしくないですよ」

「…お前は、兄の代わりをしていて、辛いと思ったことはあるか?」

琉晴のその問いかけに充は首を振った。

「いいえ。兄が病気になってから、僕が家を継ぐのだと、覚悟は決めていましたから」

「お前はすごいな。とても年下には思えない」

「そう思ってもらっているのなら、嬉しいです。僕もまだまだ兄には敵いませんから」

「あいつのお見舞い、しばらく行ってないな…」

「今度顔を見せてあげてください。きっと、兄も喜びます」

「そうだな」