「あぁ疲れた。あとは二人でお願いね」

「え」

湊が目を丸くした。

「私、渚と晶の屋敷に行ってくるから。ちょうど、連絡も来たし」

そう言って部屋を出ていった。


部屋には湊と琉晴だけが残された。

(本当にこの人は…当主としての自覚はあるのか?)

湊は心の中でそう思った。

「今、俺に当主の自覚はあるのかって思ってたでしょ」

「いつも思うんですけど、どうして俺の考えていることが分かるんですか?」

「…本当にそう思ってたんだ。まぁ別にいいけど。君は顔に出やすいんだよ」

「顔に出やすい?」

湊は首を傾げた。

「あの時だって、顔に出たから、俺にばれたんじゃないか」

おそらく、鵺の化身について言っているのだろう。

「なんでも思ったことを口に出す、あなたに言われたくはありません」

「ああそう」