「四人って俺たちで四人ってことですか?」

「そう。紫音くん、天音さん、結奈さん、花蓮さんの四人です。紫音くんには僕が、他の三人にも一人ずつ指導係をつけますから」

四人はそのまま、充に連れて行かれた。

「俺たちは、どうすれば…」

隼人が訊ねた。

「あなたたちは…そうねぇ…」

その時、勢いよくドアが開いた。

「全くなんなんだあいつは!…みんなで何してるんだ?」

真白たちがいることに気がついた渚が、声をかけた。

「渚、この子たちに何かできることない?他の四人は充たちにお願いしたんだけど」

「あぁ、そうだな。なら、一旦私の屋敷に戻るか」

「…まだかかりそうなの?」

部屋を見て娑羅が言った。

「多分、明日までかかるかもしれない」

「じゃあ、晶に車で送ってもらったら?兄さんと湊くんのことは、私が見てるから」

「そうだな。みんな、行こう」


慧と千輝の部屋には、鵺がいた。

「俺たちになんの用だ。湊のところにいなくていいのか?」

「その湊からの伝言だ。あの本のことはこちらに任せて、真白たちを見ていて欲しいとのことだ」

「その柏木たちは今どこにいる?」

「まだ屋敷にいるんじゃないか?話し声が聞こえていたぞ」

「千輝、行くぞ」

「はい」


紫音、天音、結奈、花蓮は、充に連れられて神宮家の離れにやってきた。

「ここにいるはずです」

遠くで、獣の鳴き声が聞こえた。

「なんか、寝息みたいなのが聞こえるんだけど…」

「あの木のところに誰かいる」

結奈が指差したところに、白い虎にもたれかかって眠る青年がいた。

「ひっ虎!なんでこんなところにいるの?」

天音が声を上げた。

「あ!この人、前にうちに来てた人だ!」

結奈が言った。

「え?いつ?」

花蓮が訊ねた。

「ほら、肩に虎のぬいぐるみ乗せた人がインターフォン押してたって話したでしょ?」

結奈の言葉に花蓮と紫音は思い出した。

「あぁ、あの時か」

それを聞いていた充が眉をひそめた。

「何か皆さんにご迷惑を?」

「あ、いえ、迷惑ってわけじゃなくて」

「少し驚いたというか…」

天音と結奈が顔を見合わせて言った。

「すみません。よく言っておきますね」

その時、青年があくびをしながら目を覚ました。

「あれ?充。どうしたのこんなところで」

「どうしたのじゃない。羅衣、なんでこんなところで寝ているんだ」

「だって眠くなったから…」

紫音たちは目を丸くした。

真夏の炎天下の中、木陰があるとはいえ、とても昼寝などできる場所じゃない。

「まぁいい。ところであの二人はどこにいるんだ?」

「日和と若菜?さっき飛んでくるって」

「飛んでくる?」

紫音、天音、結奈、花蓮の四人は声を揃えて言った。

その時、大きな影が頭上に飛んできた。

「あれって、鳥と龍?」