別の部屋では、三人の男女が話をしていた。

「ところで、あなたたちが前に偵察に行った子って結局どんな子だったの?」

一人の少女が口を開いた。

「そう。琉晴に偵察に行くようにって言われたんだけど、想像と違ったかも。ねぇ?」

少女が椅子に触っていた少年に話しかける。

「そうだな。他の奴らはどうだかわからないが、桜咲家の血を引いている人間があんなことも知らないなんてな」

「それは湊がちゃんとあの子に教えていないからよ」

そこに一人の女性が入ってきた。

「沙羅」

「来てたの?」

話していた三人は沙羅を見た。

隣には一人の青年が立っている。

「お前たちが二人で行ったのか?」

「だって、見に行って来いって言われたから」

「まさか、何かしてないよな?」

青年の問いかけに二人は顔を見合わせた。

「ちょっと驚かせることぐらいしかしてないよ」

「桜咲家の人間なら、一つか二つくらい何か術を使えるのが普通だろ」

それを描いていた沙羅と青年はため息をついた。

「お前たちはどうしてそんなに攻撃的なやり方をしたんだ。ただ見るだけだと言われていたんだろう?」

「だって、どれくらい力を持ってるか気になったんだもん」

沙羅が説明をした。

「兄さんから聞いた話だと、その子は小さい頃に両親を亡くしていて、親戚の家で暮らしていたそうよ。そして桜咲家と関わりを持ち始めたのが一年前って言ってたわ」

「一年前?なんでそんなに時間を置く必要がある?」

「ご両親の頼みで、十六歳になったらちゃんと話すつもりでいたみたい。でももし、自分たちに何かあった時のために、手紙を残したそうよ」

その時、ドアがノックされた。

「ここにいたんだ。姉さん」

「晶、あなたも来てたのね」

「みんなも久しぶり」

晶は笑っていった。

「晶、もうみんなそろったのか?」

「うん。もうほとんど揃ったよ」

「そっちに、前世の記憶を持った子たちが来てるんでしょ?どんな子たちなの?」

「俺たちよりも年下だよ。あと、あんまり怖がらせないようにね。特に由紀(ゆき)拓海(たくみ)

「なんで俺たちにだけ言うんだよ」

「二人が一番あの子に興味持ってたでしょ」

「それは偵察で一回会ってるからだ」

拓海が言い返した。

「湊くんから言われてるから。あの子を危険な目にはあわせないで欲しいって」

「わかってるよ。そろそろ移動した方がいいんじゃねぇのか?」

拓海が時計を見た。

「そうね。そろそろ行きましょう」


一人の使用人が真白たちのいる部屋に入ってきた。

「失礼します。準備が整いましたので、ご案内いたします」