そして、いよいよ夏休みになった。

真白たちは、京都に向かうため、新幹線に乗った。

「今回はバスじゃないんですね」

真白は、慧に話しかけた。

「バスだと時間がかかるからな」

確かに前にきた時はかなり時間がかかった。

「それに、向こうにできるだけ早めについてほしいと言われたんだ」

「他の退魔師とか術師ってどんな人たちなんですか?」

要が尋ねた。

「名家やその家に仕えている家も集まるらしいからな。特に神宮家が一番上の立場に立っている。その家に仕えているのが一ノ瀬家《いちのせ》家、二階堂《にかいどう》家、三上《みかみ》家、四宮《しのみや》家だ。この家と対等の家が、玄道家、虎田家、朱本家、青龍寺家だ」

「そんなにいるんですか?」

春香が驚いた顔をした。

「今言ったのは、特に上にいる名家だ。桜咲家も名家に入っているんだぞ」

(でも、桜咲家は、よくないことをしたんだよね…)

真白は、心の中でつぶやいた、

湊の話やあの二人組の話が気にかかっていた。

「真白、俯いてるけど、具合でも悪い?」

要が真白の顔を覗き込んだ。

「そんなことないよ。大丈夫」

真白は首を振って答えた。


二時間ほどかけて、京都に着いた。

渚と晶が待ってくれていた。

「みんな、ひさしぶり。ここから少し歩くけど、疲れてない?」

「大丈夫です」

気遣ってくれた晶に、真白は答えた。

「よかった。それじゃあ、行こうか」

真白たちは、二人の後をついて行った。


十五分ほど歩いて、山奥までやってきた。

「こんなところに、本当に家なんかあるんですか?」

紫音が晶に尋ねた。

「ここも神宮家の所有地なんだよ。この先に屋敷があるから」

晶はそう言って、歩き始めた。

二十分後。

「まだ着かないんですか?」

隼人が息を切らしながら尋ねた。

「あと少しだ」

渚が答えた。

「全然少し歩くっていう距離じゃない…」

結奈が小声で言った。

陽も高くなってきて、朝よりも気温が高くなってきている。

「着いたよ」

ようやく坂道を抜けて、屋敷が見えてきた。

「あれが神宮家の屋敷だ」

渚たちの家とは違う、和風感じの屋敷だった。

すると、屋敷の中から着物を女性が出てきた。

「遠いところをお越しくださりありがとうございます。お疲れでしょう。お部屋にご案内します」

真白たちは、その人に案内されて、屋敷の中に入った。

中に入ると、まるで何かの映画の撮影で使われそうなほど綺麗で、ホテルのようだった。

モダンなカーペットが床に敷かれていて、高そうな花瓶が入り口に入ったところに飾ってあった。