2.1 「選択の岐路」
過去の生活に慣れ始めた拓也は、次第に当時の思い出がよみがえり、自分が犯した小さな過ちや、言葉足らずだった瞬間を痛感する。彼は今度こそ、美咲との関係を修復し、別れを回避しようと必死だった。しかし、時間が進むにつれて、彼が過去に戻ってきた理由が本当にそれだけなのか、疑問が浮かび始める。

美咲との日々は楽しくも懐かしいが、拓也は今、目の前にいる彼女が、10年前の美咲であることに気づく。未来の美咲はすでに他の人と結婚を控えている。過去を変えることで、彼は彼女の未来も変えてしまうのではないか――その葛藤に直面する。

2.2 「もう一人の選択肢」
過去に戻ってから半年が経ち、拓也は自分の人生にもう一つの可能性があることを見つける。それは、当時気づかなかった、親友の佐々木優奈の存在だった。彼女はいつもそばにいて、何も言わずに拓也を支えてくれた友人であり、時には恋愛相談にまで乗ってくれた。

優奈との交流が増えるにつれ、彼女の優しさや笑顔に拓也は心を動かされ始める。美咲との関係を修復したいという強い願いは変わらないが、優奈との新たな感情が芽生え始めるのも事実だった。彼は、どちらの未来を選ぶべきか、揺れ動く心の中で答えを探し続ける。

2.3 「未来を変える代償」
過去を変えることに成功したとしても、それが未来にどう影響を与えるのか、拓也はますます不安になる。もし美咲との別れを避けたとしても、それが彼女の幸せを奪ってしまう可能性がある。優奈との未来も見えないまま、彼はどちらの選択肢も選べないでいた。

そして、ある夜、彼は再び懐中時計が異変を起こしていることに気づく。それは、過去に干渉し続けることによる「代償」が迫っていることを示していた。拓也は過去に居続けることで、自分がやり直しを求めているはずの未来そのものを消滅させてしまうかもしれないと感じる。