高校2年生の佐藤美咲は、いつも通り朝の通学路を急いでいた。そんな彼女の目の前に現れたのは、同じクラスの小野田翔。彼は、学校一のイケメンで、成績も優秀。美咲にとっては、目の前を通るだけでも不快な存在だった。

「美咲、遅刻するよ」と冷たい声が響く。彼の声に思わずイラっとする。「うるさい、あんたに関係ないでしょ!」と反論する美咲。

その日、美咲は彼にイラっとしながらも、心のどこかで気になる存在になっていく自分に気づいてしまった。


学園祭の準備が始まった。美咲はクラスの実行委員として活動することになったが、何かと小野田と一緒になることが多くなった。彼は何でもできる完璧な人間で、美咲はますます彼を嫌いになりそうだった。

「なんでそんなに優秀なの?」と美咲は聞いた。彼は少し考えてから、「努力しているからかな」と答えた。その真剣な眼差しに、何か特別なものを感じたが、素直になれない美咲は、その思いを押し殺した。


ある日、学園祭の準備が忙しくなる中、美咲は体調を崩してしまった。周囲が心配している中、唯一彼だけが自分に優しく接してくれた。

「大丈夫?無理しないで、少し休んだほうがいい」と翔が言ってくれた。彼の優しさに驚きながらも、少しずつ心が温かくなるのを感じた。

その日以来、二人は一緒に作業することが増え、会話も増えていく。美咲は彼の意外な一面を知り、少しずつ彼に心を開くようになった。


学園祭の日が近づくにつれ、美咲と翔の距離は縮まっていった。お互いの趣味や夢を語り合う中で、彼に対する嫌悪感が次第に愛おしさに変わっていく。

「美咲、君の描いたポスター、すごくいいと思う」と彼が褒めてくれたとき、美咲は思わず顔が赤くなった。心の奥底から湧き上がる感情に戸惑いつつも、翔に対する気持ちを否定できなかった。


しかし、ある日、翔の家族が引っ越すことが決まった。美咲はショックを受け、自分の気持ちを伝えられないまま、別れが近づいていることを実感した。

「美咲、実は…僕、転校することになった」と彼が告げたとき、美咲の心は崩れ落ちるような感覚に襲われた。

「なんで、今言うの?」と涙がこぼれそうになった。翔は「ごめん、でも美咲と過ごした時間は本当に楽しかった」と言った。


翔が去った後、美咲の心には深い穴が開いたようだった。彼が与えてくれた光が、彼の不在によって消えてしまったと感じた。周りの友人たちも心配してくれたが、心の中の空虚感はどうしようもなかった。

「どうして、もっと素直になれなかったんだろう」と自分を責めた。


数ヶ月後、美咲は学校で翔と偶然再会した。彼は転校先で頑張っているようだった。「美咲、久しぶり。元気にしてた?」と翔が笑顔で話しかけてくる。

その瞬間、全てが蘇った。彼との思い出、彼の優しさ、そして自分の本当の気持ち。美咲は決心した。

「私、ずっとあんたのことが好きだった!」と告白した。

翔は驚きながらも、優しい笑顔を浮かべた。「僕も、美咲が好きだよ」と言ってくれた。


再び出会ったことで、二人は以前よりも強い絆で結ばれることになった。お互いの気持ちを素直に伝え合い、明るい未来を一緒に築いていくことを誓った。

美咲は翔がくれた光を胸に、これからの毎日を楽しむことにした。「大嫌いだった君が、私に光をくれたんだ」と心から思えるようになった。彼との日々は、これからも続いていく。