それから、僕たちは付き合うことになった。初めてのデートや手をつなぐことが新鮮で、何気ない日常が一瞬で特別なものに変わっていった。沙紀との時間は、どんな瞬間も幸せに感じた。

しかし、そんな幸せな日々も長くは続かなかった。夏が終わり、沙紀が実家の事情でしばらく町を離れることになった。彼女の告白を聞いたとき、僕は無力感に襲われた。

「また会えるよね?」と不安そうに尋ねる沙紀に、「必ず戻ってくるから」と約束した。