◇
「いーか、2学期は絶対赤点取るなよ。俺はもう懲り懲りだ」
「んじゃもっと簡単なテストにしてね先生」
「ハイハイ、早く帰れー」
長い地獄はお終い。やれやれ、といった様子で私を手で退けるような仕草をした先生に別れを告げる。
回った時刻は休みなんてない、ただの平日のようだった。貴重な夏休みだったのにな〜、補習で潰れてしまったけどこれは最終日だから許容する。
「あっつー、」
夏ってたのしいけど嫌だなぁ。もくもくもくもくした白い雲が青により迫っててなんかそれだけ、良くも悪くも夏だからたのしい。
喧しいセミ、風物詩だから許されてるんだから。私はきみらの声を聴く度に汗に塗れるのが鬱陶しいと思ってしまう。
なんていうのは八つ当たり。夏ってすきだよ、いい子にしてるね。
あっついからアイス食べよう、とかいう単純な思考回路が回って、学校から最寄りのコンビニに行くまですっごい早足で。走るなんて暑苦しいから歩くけど。面倒臭いからサイダーも買おう。
近道ついでに抜けた脇道、を通り過ぎたら車があまり通らない一本道と合流して。静寂、がらんとした通りにひとまず足を進めた。
誰も通らないだろうな、って思うようなひとけのない道。大きな木ばっかりあって存在引き立ててる、如何にもって感じの神社。田舎感だね、見てるだけで涼しくなるなんて響きのいい幻想だ。