変わりない日々、夏の音、騒がしい友人たちと賭けたコンビニのアイス、伝う汗、どれも年齢を重ねてもあまり褪せない事ばかり。


前触れの気配もない気象を除けば。


但し書きがはりつく夏の景色はあまり好みではなかった。



「ダル、」



放課後。学校に残っていたのが間違いだった。ちょうど学校を出てひとりになった帰路、油断大敵だと言いたげにぽつんと大粒の雫に降ってくる。


上を見れば絵に描いたような青が白とグレーの雲に追いやられて、その所為で生み出された透明が数を増して落ちてきた。


怠い。傘を持って外に出る天気じゃなかったのに。


幸い学校から家が近いから帰れないなんてことはないけれど、徐々に増していく雨の勢いには勝てない。


こんなもんかとはじめに感じた余裕を流すかのように一時的な激しさを伴って打ち付けてくる雨がウザい。手遅れだとわかっていても鞄を雨避けにしながら何か雨宿りできる場所、を。


たまたま目についたシャッターがおりた店の前、衝動的にそこに向かう。


最近おろしたばかりの靴に雨がふりかかる、のが、すこし面倒臭い。そう思いながら雨を避けるように店の屋根のある部分に入り込んで、息を整えようと深呼吸をした、とき。


気づかなかった人の姿が目に入った。