今いちばん会いたいってあのとき思ったの、ただ単に夕立が似てたから。あの日と同じだったから。
いつでも最新の気持ちを優先してるだけのことが、今いちばん優先してる彼を押し留めている。それで私は今いちばん浸り続けてる。
私の為じゃないとか言い訳しておいて私に良い思いをさせてくれる場所が此処で、その両手、ずっと広げていてくれるって言うなら今の感情吐き出して楽して。
「だってもうだめだよ、わざとでしょ。どんな思いして私にキスしたとか今の気持ちどこで換算したとか全部、全部全部、」
私の為でいてほしい。
「教えてよ」
笑った私を強く抱きしめた成澤の所為で、よろけた弾みで後ろに倒れ込む。浴室の磨りガラスのドアが私の背後できらきらしてること、見なくても合わせた目に映り込んで。
眩しすぎて見ていられないな、真っ直ぐすぎて嫌いだ。でもいと惜しいとか思うくらいには絆されて、これもどこかでは自分の快楽の材料にされていて。真っ直ぐすぎて嫌いだ。眩しすぎて、目の奥がすこしあつい。
あの日も今日も変わらず、我先にと地面に出会いたがっていた雨の粒みたいに。
私も知らないフリしていながら、自分だけの独占権を握りしめてこの人の言葉で落ちていく。真っ逆さまに、遺言戯言甘言、途中で都合よく使ってもどうせ心無し、気持ちなんて半端に込められないけど。
ねえ知ってて。言いたくないから言ってほしい。
私、何でもいいけど成澤じゃないと生きたくないよ。
「いつも見てる」