雨がここまで酷くなくて、雷も鳴っていなくて、私は赤点なんて取ってなくて、傘も持っていて、ただ単にスマホの通知見たくて留まった雨宿りで。
何でもなかったはずの出会い方をして、それで。
それで。
「なーにしてんだか」
って。
思い出していたい。雨を避けて走る呼吸とか、合った眼の鋭さとか、強引なてのひら、情動だってぜんぶ。
思い出して、る時点、忘却の観点なんてない。抱きしめてるずっと。
名前を登録していない番号だけの羅列をタップする。繋がらない音が耳元で鳴る。鳴る。途切れる。
何、と素っ気なく問われたその声が聞こえたとき、雨の音なんて消え去ったような気がした。止まった気がした。心臓がおかしいくらいに冷静になって。
いの一番についた言葉は。
「今いちばん会いたい」
