一度模型を完成させたという自信はすごいもので、不器用組が多少ミスをするものの、前回みたいなグダグダにはならず、あっという間に地形は完成することができた。
 と言ってもここから地獄の作業が待っている。特に建物は写真を参考に自作をしなければならず、細かい作業に俺も瀬戸さんに習ってホットタオルを持参した。
 練習で一度でもやったところから作業を始め、やらなかったところは完全スルーした。そのおかげで山、川、畑、線路、トンネルは短いスパンで完成させることができた。一つトラブルがあったとすれば、トンネル内メンテナンス用の穴をあけるのを忘れていたくらいだけど、それは修正ができた。スキルが上がっていたのと先輩の器用さのおかげだ。
 田んぼに関しては別の学校や団体がやっていた案をパクリ、緑色の歯ブラシを代用させてもらった。
 そして建物は流れ作業で作ることになった。俺と瀬戸さんが大きい部分を切ったり貼ったりして、先輩が建物の小物を取り付ける作業を行う。
 最後に街灯や建物や神輿、提灯を模したもの(電球に赤いものを巻いてそれっぽく見せた)の配線を繋ぎ、ちゃんと光るか確認した。結果は成功、夜景が完成した。
 けど問題が残っていた。
 一つは夜景なのに暗く出来ない。
 二つ、夜空に浮かぶ天の川が出せない
 だ。
 特に上の天の川に関しては、そもそも案がなかったのだ。
「どうします?」
「どうします以前にこんな出来じゃ入賞もないと思います……」
 瀬戸さんのいつものごもっともな突っ込みが炸裂する。確かに完成したけれど、出来に関してはどう見ても素人さんよりかはうまく工夫出来たねと言ってもらえるレベル。グダグダではないだけだ。
 最初に言っていたけど、実力がないのはわかっていた。だから発想と熱意と込めた感情で勝つと。作っている時は感情は込められたと思う。けどそれ以外はなにもない。
「うーん。でもこれ以上どう手をつけろと」
 完全に暗礁に乗り上げてしまった。けどまだ時間はある。その間に何かいい案を
「あーでも今日は天の川見られるのかな?」
「それこそ前原ダムに行けばみれそうですよね」
「だよね。明かりもないから星が良く見えるんだろうな。天然のプラネタリウムだよ」
「いや、天然のってなんですかプラネタリウムは……」
 プラネタリウム?その言葉が引っ掛かった。
「どうしたの?」
「それです。プラネタリウムです!」
「え?」
 俺は思いついた作戦を説明する。当然驚かれたけど、インパクトは十分与えられるとみんな賛成してくれた。
「もうやけくそだ。やったるぞ」
「ええ、それにその発想はなかったわ」
「すまんけど、最後の作業をお願いしまう」
 そして前代未聞と思われるレイアウト作りが幕を開けた。