週が明けた月曜日の放課後、すぐに職員室前に集まった。
校長室へ案内され、初めて顔を合わせた時と同じように座った。唯一違うのは校長先生が俺たちと反対のソファーに座ったことくらい。
「顔を出せなくてすまないね。毎日金谷先生から報告は聞いてるよ。土曜日も休日返上で活動したと聞いた時は驚いたよ。そこまで真剣に取り組んでくれて嬉しい限りだ」
ラフな感じで話してくれたけど、俺の方はまたしても緊張で心臓に負担がかかっている。
「いえ……あ、それと部室を用意して頂いてありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
先輩と瀬戸さんも俺の後に続いて頭を下げた。
「いいって。君たちが自分で活動内容を見つけて来たんだ。それに私は心を動かされた。それだけだよ」
校長先生の言葉に少しだけ緊張が揺らぎ、心臓の鼓動も若干落ち着いたことで、心にも落ち着きが出て来た。
「ところで、今日は何か頼み事があると聞いたのだが、要件は何かな?」
本題に入った。
「実は、模型を作るにあたってお金が足りないことがわかりました。……こちらです」
一昨日作った予算のリストを机に置いた。
「このように模型はかなりお金がかかり、今の私たちが到底出せる額ではありません。なのでアルバイトの許可をいただきたいと思います」
「アルバイト?」
「はい」
「ちなみに校則は知っているね?」
「はい。原則禁止というのは知っています」
「ふーむ」
校長先生は予算を見ながら唸った。
「確かに始まったばかりの部活にしてはなかなか出せない額だ。親御さんが出してもらうにしても、この割り当てだと一人3万……」
「はい」
「……君たちの熱意はわかるし、今回はできる限り手助けしてあげたいとさえ思っている。だがすまない、これだけではバイトの許可は出すことはできない」
相当悩んでくれたとは思うけど、出された答えはNO。やっぱりそう簡単にはいかないか。
「せめて、OKを出せるとすればどんな条件か教えていただけませんか?」
瀬戸さんの質問に校長先生はさらに難しい顔をし、また考え込んでしまった。
「詳細な計画を考えて教えてほしい。いつまでに目標額を達成できて、どこで働くかを細かくね。それを提出すればもう一度考えてみよう」
「わかりました。ありがとうございます」
「申し訳ない」
やっぱり許可は降りず、俺たちは失意のまま校長室を後にし部室に戻った。
「計画と言ってもどんなふうにすればいいんだ?」
「どこでどのくらいやるか?それは絶対条件よね」
「それと、これは私の予想なんだけど、目標額を達成した後も辞めずに続けないかも心配なんだと思う。」
なるほど。バイトはどこも長期で入ってくれる人を欲しがってる感じがした。俺たちにそんな気がなくても可能性があると判断出来る以上は許可できないのか。
「目標額は10万。三人なら週2でも一ヶ月で稼げるな」
「でも高校生で短期ってどんなのがある?派遣とかはまず無理だし」
「昨日探してみたけどどこも一年くらいやってくれる人歓迎とかだった」
「短期と言っても一ヶ月なんて好条件はまずないと思う」
いくら考えてもいい案は浮かばなかった。改めて調べてみても一ヶ月で終わるバイトなんてまずない。
「みんなあの、一応これ」
金谷先生が一枚の紙をみんなから見える位置に置いた
「アルバイト許可申請書」
「あったんですか、書類?」
「禁止される前の許可制時代のものよ。今朝別の探し物をしていたらまだ残っててコピーさせてもらったわ」
ないよりはいいけど、いい条件のバイトがないんじゃ意味がない。
「いっそのことクラウドファンディングやってみるとか?」
「多分ネットでバイトしろで終わりかと」
「やっぱり?」
「可能性は0じゃないですけど、期待はできないかと」
「ですよね〜」
「とにかく、今は根気強くいいバイトを探すしかないですね」
口ではそう言ったけど正直そんな美味しい話があるとは思えない。でも希望的観測にすがらないと色々保てない気がした。
校長室へ案内され、初めて顔を合わせた時と同じように座った。唯一違うのは校長先生が俺たちと反対のソファーに座ったことくらい。
「顔を出せなくてすまないね。毎日金谷先生から報告は聞いてるよ。土曜日も休日返上で活動したと聞いた時は驚いたよ。そこまで真剣に取り組んでくれて嬉しい限りだ」
ラフな感じで話してくれたけど、俺の方はまたしても緊張で心臓に負担がかかっている。
「いえ……あ、それと部室を用意して頂いてありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
先輩と瀬戸さんも俺の後に続いて頭を下げた。
「いいって。君たちが自分で活動内容を見つけて来たんだ。それに私は心を動かされた。それだけだよ」
校長先生の言葉に少しだけ緊張が揺らぎ、心臓の鼓動も若干落ち着いたことで、心にも落ち着きが出て来た。
「ところで、今日は何か頼み事があると聞いたのだが、要件は何かな?」
本題に入った。
「実は、模型を作るにあたってお金が足りないことがわかりました。……こちらです」
一昨日作った予算のリストを机に置いた。
「このように模型はかなりお金がかかり、今の私たちが到底出せる額ではありません。なのでアルバイトの許可をいただきたいと思います」
「アルバイト?」
「はい」
「ちなみに校則は知っているね?」
「はい。原則禁止というのは知っています」
「ふーむ」
校長先生は予算を見ながら唸った。
「確かに始まったばかりの部活にしてはなかなか出せない額だ。親御さんが出してもらうにしても、この割り当てだと一人3万……」
「はい」
「……君たちの熱意はわかるし、今回はできる限り手助けしてあげたいとさえ思っている。だがすまない、これだけではバイトの許可は出すことはできない」
相当悩んでくれたとは思うけど、出された答えはNO。やっぱりそう簡単にはいかないか。
「せめて、OKを出せるとすればどんな条件か教えていただけませんか?」
瀬戸さんの質問に校長先生はさらに難しい顔をし、また考え込んでしまった。
「詳細な計画を考えて教えてほしい。いつまでに目標額を達成できて、どこで働くかを細かくね。それを提出すればもう一度考えてみよう」
「わかりました。ありがとうございます」
「申し訳ない」
やっぱり許可は降りず、俺たちは失意のまま校長室を後にし部室に戻った。
「計画と言ってもどんなふうにすればいいんだ?」
「どこでどのくらいやるか?それは絶対条件よね」
「それと、これは私の予想なんだけど、目標額を達成した後も辞めずに続けないかも心配なんだと思う。」
なるほど。バイトはどこも長期で入ってくれる人を欲しがってる感じがした。俺たちにそんな気がなくても可能性があると判断出来る以上は許可できないのか。
「目標額は10万。三人なら週2でも一ヶ月で稼げるな」
「でも高校生で短期ってどんなのがある?派遣とかはまず無理だし」
「昨日探してみたけどどこも一年くらいやってくれる人歓迎とかだった」
「短期と言っても一ヶ月なんて好条件はまずないと思う」
いくら考えてもいい案は浮かばなかった。改めて調べてみても一ヶ月で終わるバイトなんてまずない。
「みんなあの、一応これ」
金谷先生が一枚の紙をみんなから見える位置に置いた
「アルバイト許可申請書」
「あったんですか、書類?」
「禁止される前の許可制時代のものよ。今朝別の探し物をしていたらまだ残っててコピーさせてもらったわ」
ないよりはいいけど、いい条件のバイトがないんじゃ意味がない。
「いっそのことクラウドファンディングやってみるとか?」
「多分ネットでバイトしろで終わりかと」
「やっぱり?」
「可能性は0じゃないですけど、期待はできないかと」
「ですよね〜」
「とにかく、今は根気強くいいバイトを探すしかないですね」
口ではそう言ったけど正直そんな美味しい話があるとは思えない。でも希望的観測にすがらないと色々保てない気がした。