※グロ注意です。
💭 🔁 ❤×?181
刑事さんたちは帰っていった。どうも彼らは警察庁の刑事であって、警視庁のそれでは無いらしい。
そして、年配刑事さんが慌てた様子で電話する内容を聞いた限り、二人には頼々子が動き始めているとの情報が入っていなかったようだ。
……あれか。警視庁と所轄は不仲っていう、『踊る大捜○線』みたいな刑事モノで良く見る構図。止めてくれよ。
一方、古井戸先生の方は良く分かっていないようだった。何よりだ。
そうして僕は教室に戻り、
「あの、山野くん。警察は帰ったから、もう事情聴取は無いって」
ちょうど喧騒の合間に落ち込んでしまったのか、僕の声は思いの外良く響いた。関西弁のイントネーションが露わになって、勝手に疎外感を感じてしまう。……ただでさえ僕は、このクラスから半分無視状態だと言うのに。
【陽キャリーダー】蹴鞠「えっ!? 帰ったって、どういう事だい!?」
【セミプロダンサー】舞姫「なになに、どうしたの?」
「あ、その、えっと――――……」急にクラスのみんなから注目され、僕は戸惑う。「な、何か、所轄から警視庁に引き継ぐとか言ってて」口から出まかせだけど、後々真実になるから問題無い。
【お料理YouTober】米里「お前が何か言ったのか、物部?」凹んでいたはずの米里くんが、詰め寄って来た。「そうなんだろ!? だってお前はいつも、星狩の事――」
【陽キャリーダー】蹴鞠「ストップストップ!!」割って入る。「お料理くん! お前その話はするなって言っただろう!?」
【お料理YouTober】米里「だけどさ。案外、この『呪い』だってコイツが原因なのかも――」
【陽キャリーダー】蹴鞠「黙れって」
気が付くと、教室が静まり返っていて、何やら気まずい雰囲気だ。
そして僕もまた、気まずい。僕が『呪い』の登録ボタンを押したのは事実だからだ。
それにしてもこの、クラスが遠巻きに僕を見る感じ……もしかして、僕が『視える』って事がバレてる? いやいや、まさかそんな。まぁどの道、頼々子さんが来たら、バレる話だけど、さ。
💭 🔁 ❤×?181
3限目は調理実習だった。
みんな、『こんな事をしている場合なのか?』という顔をしながらも、教師から指示されるがまま、料理をしている。
【映えの権化】蝿塚「映える!? コレ映えるかなぁ!?」チームの中でただ1人、スマホを片手にあっちをパシャパシャ、こっちをバシャパシャ。「ね、ね、映えるかなぁ!?」
【お料理YouTober】米里「ちょっと蝿塚さん、手を動かしてくれよ」言いながらも、驚くべき包丁捌きでキャベツの千切りを量産していく。
米里くんはチャンネル登録者数数千人のお料理YouTober。イケメンなのと包丁捌きがガチで上手いので、YouTober戦国時代の現代では成功している部類に入るのではないだろうか。
リンゴ剥きRTAとか、ダイコンを向こう側の景色が見えるくらいに薄く途切れないかつら剥きにして見せたり、といった曲芸動画もたくさんUPしていて、本当に凄い人だと思う。
一方の蝿塚さんは、映えといいねを求め続ける承認欲求の権化のような人。
本名Twittoo勢だけど、米里くんみたいに一芸を持っているわけではないので、欲求を満たすに足るいいねをもらうには至っていないようだ。
それでも、馬子みたいなバカットーに走らないだけ、まだ理性的な方かもしれない。
……前言撤回だ。
承認欲求イコール生存欲求となった彼女が、いいねの為にバカな事をやり始めた。
デザート枠でミックスジュース? スムージー? を作るらしく、蓋を開けたままのミキサーに、バナナを掴んだ手を突っ込んでいる。一歩間違えれば指がぐちゃぐちゃにミキサーされてしまう。
【映えの権化】蝿塚「映えてる!? 映えてるかなぁ!?」
【紅一点】州都「うんうん、映えてる映えてる」蝿塚さんのスマホで動画を取りながら、「スイッチ入れるよ~」
生徒たちの狂った行いに気付いた【家庭科教師】調理恵先生が、「ちょっと蝿塚さん!? 危険な事は止めなさい!」
州都さんがスイッチを入れた。
蝿塚さんが持っているバナナがあっと言う間にミキサーに吸い込まれ、その勢いが予想外だったのか、彼女の指が、
【映えの権化】蝿塚「ぎゃぁあぁぁああぁああああッ!?」
ミキサーの中が真っ赤に染まった。
蝿塚さんが、勢い良く手を引っ込める。
その指先は真っ赤で、不自然なほどに細いように見える。
【紅一点】州都「も、もっかいやってみなよ!! 映えるかもよ!?」
州都さんが、信じられない事を言う。口調は笑っている。
【映えの権化】蝿塚「は、は、は、映える!? 映えるんだったらもう一度――」狂気に彩られた笑顔で、手を、猛回転するミキサーに突っ込もうとする。
クラスの連中が、一斉にスマホを構える。
【家庭科教師】調「止めなさいッ!!」蝿塚さんの腕を掴む。「誰か、早く救急車を!!」見回すも、みなスマホを構えたり操作するのに必死で、誰も電話しようとしない。「……狂ってるわ」
【プロ棋士】正岡「はい。東京都文京区の猫目高校です――」
唯一冷静だった正岡くんが、119番したようだった。
💭 🔁 ❤×?181
刑事さんたちは帰っていった。どうも彼らは警察庁の刑事であって、警視庁のそれでは無いらしい。
そして、年配刑事さんが慌てた様子で電話する内容を聞いた限り、二人には頼々子が動き始めているとの情報が入っていなかったようだ。
……あれか。警視庁と所轄は不仲っていう、『踊る大捜○線』みたいな刑事モノで良く見る構図。止めてくれよ。
一方、古井戸先生の方は良く分かっていないようだった。何よりだ。
そうして僕は教室に戻り、
「あの、山野くん。警察は帰ったから、もう事情聴取は無いって」
ちょうど喧騒の合間に落ち込んでしまったのか、僕の声は思いの外良く響いた。関西弁のイントネーションが露わになって、勝手に疎外感を感じてしまう。……ただでさえ僕は、このクラスから半分無視状態だと言うのに。
【陽キャリーダー】蹴鞠「えっ!? 帰ったって、どういう事だい!?」
【セミプロダンサー】舞姫「なになに、どうしたの?」
「あ、その、えっと――――……」急にクラスのみんなから注目され、僕は戸惑う。「な、何か、所轄から警視庁に引き継ぐとか言ってて」口から出まかせだけど、後々真実になるから問題無い。
【お料理YouTober】米里「お前が何か言ったのか、物部?」凹んでいたはずの米里くんが、詰め寄って来た。「そうなんだろ!? だってお前はいつも、星狩の事――」
【陽キャリーダー】蹴鞠「ストップストップ!!」割って入る。「お料理くん! お前その話はするなって言っただろう!?」
【お料理YouTober】米里「だけどさ。案外、この『呪い』だってコイツが原因なのかも――」
【陽キャリーダー】蹴鞠「黙れって」
気が付くと、教室が静まり返っていて、何やら気まずい雰囲気だ。
そして僕もまた、気まずい。僕が『呪い』の登録ボタンを押したのは事実だからだ。
それにしてもこの、クラスが遠巻きに僕を見る感じ……もしかして、僕が『視える』って事がバレてる? いやいや、まさかそんな。まぁどの道、頼々子さんが来たら、バレる話だけど、さ。
💭 🔁 ❤×?181
3限目は調理実習だった。
みんな、『こんな事をしている場合なのか?』という顔をしながらも、教師から指示されるがまま、料理をしている。
【映えの権化】蝿塚「映える!? コレ映えるかなぁ!?」チームの中でただ1人、スマホを片手にあっちをパシャパシャ、こっちをバシャパシャ。「ね、ね、映えるかなぁ!?」
【お料理YouTober】米里「ちょっと蝿塚さん、手を動かしてくれよ」言いながらも、驚くべき包丁捌きでキャベツの千切りを量産していく。
米里くんはチャンネル登録者数数千人のお料理YouTober。イケメンなのと包丁捌きがガチで上手いので、YouTober戦国時代の現代では成功している部類に入るのではないだろうか。
リンゴ剥きRTAとか、ダイコンを向こう側の景色が見えるくらいに薄く途切れないかつら剥きにして見せたり、といった曲芸動画もたくさんUPしていて、本当に凄い人だと思う。
一方の蝿塚さんは、映えといいねを求め続ける承認欲求の権化のような人。
本名Twittoo勢だけど、米里くんみたいに一芸を持っているわけではないので、欲求を満たすに足るいいねをもらうには至っていないようだ。
それでも、馬子みたいなバカットーに走らないだけ、まだ理性的な方かもしれない。
……前言撤回だ。
承認欲求イコール生存欲求となった彼女が、いいねの為にバカな事をやり始めた。
デザート枠でミックスジュース? スムージー? を作るらしく、蓋を開けたままのミキサーに、バナナを掴んだ手を突っ込んでいる。一歩間違えれば指がぐちゃぐちゃにミキサーされてしまう。
【映えの権化】蝿塚「映えてる!? 映えてるかなぁ!?」
【紅一点】州都「うんうん、映えてる映えてる」蝿塚さんのスマホで動画を取りながら、「スイッチ入れるよ~」
生徒たちの狂った行いに気付いた【家庭科教師】調理恵先生が、「ちょっと蝿塚さん!? 危険な事は止めなさい!」
州都さんがスイッチを入れた。
蝿塚さんが持っているバナナがあっと言う間にミキサーに吸い込まれ、その勢いが予想外だったのか、彼女の指が、
【映えの権化】蝿塚「ぎゃぁあぁぁああぁああああッ!?」
ミキサーの中が真っ赤に染まった。
蝿塚さんが、勢い良く手を引っ込める。
その指先は真っ赤で、不自然なほどに細いように見える。
【紅一点】州都「も、もっかいやってみなよ!! 映えるかもよ!?」
州都さんが、信じられない事を言う。口調は笑っている。
【映えの権化】蝿塚「は、は、は、映える!? 映えるんだったらもう一度――」狂気に彩られた笑顔で、手を、猛回転するミキサーに突っ込もうとする。
クラスの連中が、一斉にスマホを構える。
【家庭科教師】調「止めなさいッ!!」蝿塚さんの腕を掴む。「誰か、早く救急車を!!」見回すも、みなスマホを構えたり操作するのに必死で、誰も電話しようとしない。「……狂ってるわ」
【プロ棋士】正岡「はい。東京都文京区の猫目高校です――」
唯一冷静だった正岡くんが、119番したようだった。