何も解決されないまま投票日になった。
 夜8時に締め切られ、即日、開票作業が始まった。
 ローカルテレビ局の速報では、開票率ゼロパーセントの時点で枯田に当確のマークが付いた。
 出口調査で圧倒的な大差をつけていたのだ。
 
 夜遅く集計が終わった。
 それを伝えるテレビのニュースでは、何度も何度も万歳を繰り返す枯田とその陣営の破顔大笑が映されていた。
 枯田の横には、してやったりと意味深な笑みを浮かべている選挙参謀がいた。
 
 桜田は枯田の1割も票を取れなかった。
 何しろ、投票率が極端に低いのだ。
 公職選挙法で定められた25パーセントの最低投票率をわずかに上回った程度だった。
 桜田に期待していた多くの人たちが選挙への関心を失って投票所へ足を運ばなかったから、投票率が上がるはずはなかった。
 だから、浮動票頼みの桜田に勝ち目はなかった。