晩ご飯を食べ終わった時、電話が鳴った。
 お母さんが洗い物をしていたので、わたしが受話器を取った。
 単身赴任中のお父さんからだった。
 家を建てて1年くらい経った時に転勤を言われたため、お母さんと話し合って一人で福岡に行くことになったらしい。
 
「学校はどうだ?」

「うん」

「虐められてないか」

「うん」

「そうか」

 いつものように会話が途切れた。

「お母さんに代わってくれるか」

 受話器をお母さんに向けて差し出すと、手を拭いたお母さんが受け取った。
 次はいつ帰るみたいなことを話しているようだった。
「じゃあね」と言って受話器を置いたお母さんは、また洗い物を始めた。

 テレビを付けるとニュースをやっていた。
 興味がないのでチャンネルを変えると、大食い競争の番組になった。
 大盛りのカツカレーを凄い速さで食べていた。
 見ていて気持ち悪くなったのでまたチャンネルを変えた。