二人の状態は全身を強く打って重傷ではあったが命に別状はなかった。
 しかし、退院時、それぞれの母親が診察室に呼ばれ、「寒田さんの右膝と黄茂井さんの右肘には重い後遺症が残る可能性があります」と医師から告げられた。
 ターゲットに膝蹴りと肘打ちをした部位が奇妙な形に複雑骨折していた。
          
 夢開市に帰った寒田と黄茂井が夢開小学校に登校することはなかった。
 万引きと虐めの噂が一気に広がり、近所から冷たい目で見られるようになったからだ。
 それぞれの家族は居たたまれなくなったのか、逃げるように何処かへ引っ越して行った。
 その後、彼女たちの消息を耳にすることはなかった。