その後も医学部や薬学部、看護学校などについて書かれている本を読んだが、どれも難しかった。
 それに、解剖の写真が出てきた時には思わず目を背けてしまった。
 人の体を知るためには臓器のことを知らなければならないので解剖は必須なようだが、それに向き合い続けるのは自分には無理だと思った。
 医療に携わることは諦めるしかなかった。
 
 でも、困っている人に手を差し伸べるために何かをしたいという気持ちは変わらなかった。
 だから医療以外で何かできないか探し始めた。
 病気じゃなくても困っている人が大勢いるはずだからだ。
 そのためにはどんな仕事があって、その仕事がどんな役立ちをしているのかを知らなければならない。
 図書館に(こも)って仕事に関する本を片っ端から読んだ。

 当然と言えば当然だが、知らないことだらけだった。
 こんなに色々な職業があるとは思わなかった。
 中にはよく知っている歌手や女優、警察官や消防士のような職業もあったが、ほとんどは知らない職業ばかりだった。
 そのことに驚きながらも色々な職業の本を読みながら、興味を持てそうな仕事を探した。