開校式典が終了してから4時間後、羽田空港のVIP専用個室で彼は窓から外を見つめていた。
 がっしりとした広い背中だった。
 二の腕の筋肉が盛り上がり、スーツの上腕部分が張り裂けそうだった。
 わたしより頭一つ以上背の高い建十字が振り向いた。
 
「アメリカに来てくれないか」

 真剣な表情で見つめられた。

「長い間待たせて悪かったな」 

 わたしは胸が一杯になった。それでもなんとか声を絞り出した。

「うん」

 その瞬間抱きしめられた。
 わたしは彼の大きな胸に顔をうずめて幸せに酔った。
 すると、脳裏に小学生の頃からの思い出が走馬灯のように過った。