それからしばらくは落ち込んで何も手につかない状態に陥った。
 気を取り直そうとしても、それは長く続かなかった。
 妙案は浮かばないし、スポーツ関係の人脈はないのだ。
 といって、大本命に断られた丸岡にこれ以上頼るのは気が引けた。
 わたし以上にがっかりしているのは目に見えているからだ。
 袋小路に入ったまま時間だけが過ぎていった。
 
 その間、桜田から一度電話があったが、本命に断られたことを告げると、それっきり電話をかけてこなくなった。
 彼もがっかりしているのだろう。
 その顔を思い浮かべると更に憂鬱(ゆううつ)になった。
 世界中の不幸を一人で背負っているような暗い気持ちになった。
 
 そんな鬱々とした日を重ねていた時、思いがけぬ電話がかかってきた。
 鹿久田からだった。
 久しぶりに会いたいという。
 それも明日。
 急な誘いで一瞬戸惑ったが、それでも応じることにした。
 気分転換が必要だったのだ。
 翌日、定時に職場を出て目的地に向かった。