街は祝日のためか家族連れて賑わっていた。
適当にウィンドウショッピングをして歩いていたが、あまり日向野の食いつきがよくなかったのでゲームセンターで暇を潰すことにした。
さすがに流行っているだけあって、ポチャチャのクレーンゲームがいくつかある。
やるかと日向野に聞いてみたけれど、日向野はずっと持って歩くのは大変だからと言い、クレーンゲームを無視してカプセルトイのエリアへと進んだ。
エリアには二百台ほどのカプセルトイが並んでおり、日向野はこの中からポチャチャの台を探すのだという。
手分けしてポチャチャを探していると、「八代くん、こっち!」と日向野の弾んだ声が聞こえた。
声の聞こえた方に向かうと、いつの間に両替をしたのか大量の百円玉を持って日向野がしゃがんでいた。
よくそんな下の台見つけたなと感心しながら、日向野の隣にしゃがみ込む。
「一回四百円もすんの?」
「今の時代これくらい当たり前だよ。その分クオリティすごいしね」
日向野が今から回そうとしている台は、全長五センチのポチャチャのミニライトフィギュアらしい。どうやらお尻にスイッチがあり、スイッチを入れると体が光る仕様になっているようだった。
日向野は早速一回目を回していて、慣れた手つきでカプセルを開ける。そして中身を確認して、すぐにまた次を回し始めた。
「こういうのってどこかに飾ってるの?」
「もちろん。ショーケースに飾ってる」
「へぇーさすが」
日向野はそのまま五回連続で同じ台を回し、全五種類のうち三種類をゲットしていた。
ここまで躊躇なくお金を注ぎ込めるのもすごい。
「どんだけ金持ってるんだよ」
「一応バイトしてるから」
「え、まじ? なんのバイト?」
初耳だった。垢抜ける前のあの風貌でバイトができるところがあることに驚きだった。
「コンビニ。家の近くだし、一週間ごとにシフト提出だからポチャチャ関連で何かあった時に対応できていいんだよね」
全てはポチャチャのためです、と顔が言っていた。
接客している日向野なんて少しも想像できないからちょっと見てみたい。
そういえば日向野はどこに住んでいるのだろう。電車通学とは聞いていたけれど……。
「八代じゃね?」
探るように聞こえた声に顔を上げると、中学時代の同級生である坪内と目が合った。
「やっぱ八代じゃん!」
テンションが上がった坪内がこちらにやって来る。
「久しぶり。元気だった?」
「元気元気! 超元気!」
そう言いながら、坪内がバシバシと八代の肩を叩いた。
相変わらずの明るさと力強さだ。
坪内とは中学校の三年間を共にした仲だったが、坪内が都心の高校へと進学したことを機に疎遠となっていた。
「寮入ってから全然こっち帰ってきてなくてさ」
そういえば卒業前にそんな話をしていたなと思い返す。
久しぶりに会ったことで普段からお喋りの坪内の弾丸トークは止まらず、寮のご飯が美味しくないとか、都心の電車は毎日が戦場だとかそんなことをつらつらと話し出した。
適当に頷きながらどう話を切り上げようかと考えていると、今までしゃがんで気配を消していた日向野がスッと立ちがった。
「もう時間だよ」
日向野の一言に坪内が我に帰りはっとしたのがわかった。
ナイス日向野、そう思ったのも束の間。
「えっ、ちょっと」
日向野は八代の腕を掴むと坪内に挨拶する時間も与えずにそそくさとその場を離れた。
適当にウィンドウショッピングをして歩いていたが、あまり日向野の食いつきがよくなかったのでゲームセンターで暇を潰すことにした。
さすがに流行っているだけあって、ポチャチャのクレーンゲームがいくつかある。
やるかと日向野に聞いてみたけれど、日向野はずっと持って歩くのは大変だからと言い、クレーンゲームを無視してカプセルトイのエリアへと進んだ。
エリアには二百台ほどのカプセルトイが並んでおり、日向野はこの中からポチャチャの台を探すのだという。
手分けしてポチャチャを探していると、「八代くん、こっち!」と日向野の弾んだ声が聞こえた。
声の聞こえた方に向かうと、いつの間に両替をしたのか大量の百円玉を持って日向野がしゃがんでいた。
よくそんな下の台見つけたなと感心しながら、日向野の隣にしゃがみ込む。
「一回四百円もすんの?」
「今の時代これくらい当たり前だよ。その分クオリティすごいしね」
日向野が今から回そうとしている台は、全長五センチのポチャチャのミニライトフィギュアらしい。どうやらお尻にスイッチがあり、スイッチを入れると体が光る仕様になっているようだった。
日向野は早速一回目を回していて、慣れた手つきでカプセルを開ける。そして中身を確認して、すぐにまた次を回し始めた。
「こういうのってどこかに飾ってるの?」
「もちろん。ショーケースに飾ってる」
「へぇーさすが」
日向野はそのまま五回連続で同じ台を回し、全五種類のうち三種類をゲットしていた。
ここまで躊躇なくお金を注ぎ込めるのもすごい。
「どんだけ金持ってるんだよ」
「一応バイトしてるから」
「え、まじ? なんのバイト?」
初耳だった。垢抜ける前のあの風貌でバイトができるところがあることに驚きだった。
「コンビニ。家の近くだし、一週間ごとにシフト提出だからポチャチャ関連で何かあった時に対応できていいんだよね」
全てはポチャチャのためです、と顔が言っていた。
接客している日向野なんて少しも想像できないからちょっと見てみたい。
そういえば日向野はどこに住んでいるのだろう。電車通学とは聞いていたけれど……。
「八代じゃね?」
探るように聞こえた声に顔を上げると、中学時代の同級生である坪内と目が合った。
「やっぱ八代じゃん!」
テンションが上がった坪内がこちらにやって来る。
「久しぶり。元気だった?」
「元気元気! 超元気!」
そう言いながら、坪内がバシバシと八代の肩を叩いた。
相変わらずの明るさと力強さだ。
坪内とは中学校の三年間を共にした仲だったが、坪内が都心の高校へと進学したことを機に疎遠となっていた。
「寮入ってから全然こっち帰ってきてなくてさ」
そういえば卒業前にそんな話をしていたなと思い返す。
久しぶりに会ったことで普段からお喋りの坪内の弾丸トークは止まらず、寮のご飯が美味しくないとか、都心の電車は毎日が戦場だとかそんなことをつらつらと話し出した。
適当に頷きながらどう話を切り上げようかと考えていると、今までしゃがんで気配を消していた日向野がスッと立ちがった。
「もう時間だよ」
日向野の一言に坪内が我に帰りはっとしたのがわかった。
ナイス日向野、そう思ったのも束の間。
「えっ、ちょっと」
日向野は八代の腕を掴むと坪内に挨拶する時間も与えずにそそくさとその場を離れた。