「お酒って美味しいんですか?」


未成年の俺には、お酒がどんなものなのかまだわからない。


「ジュースのほうがあたしは好き」


カバンのなかに手を突っ込んでお財布を探しながらそう答えるお姉さん。


「じゃあジュース飲めばよくないですか?」


んー、と少し考えたお姉さんが口を開く。


「……早くね、オトナになりたいの」


お姉さんの言っている意味がわからなかった。


20歳って、高校生の俺からしてみれば大人だし、法律上も大人だ。


「お姉さんが大人じゃないんだったら、俺はもっと子供ですね」


「そんなことないよ?アオイくん落ち着いててあたしよりしっかりしてるもん」


子供に見られたくなくて、お姉さんに近付きたくて、だからそう言ってくれることがすごく嬉しい。


「あと30分がんばってね」


気付けばお財布をカバンのなかにしまって、お会計が終わった缶チューハイとアイスを手に持っていた。


そのまま自動ドアのほうへと帰っていくお姉さん。