ふわっと風が吹いて、お姉さんの髪が柔らかく揺れる。
“舞”
綺麗なお姉さんにぴったりな名前だと思った。
「舞、さん」
「なあに」
お姉さんの名前を心の中で呼んだつもりが、自然と口から漏れてしまっていた。
「あっ、呼んでみただけです」
お姉さんは優しく笑っている。
「アオイ君も教えて?フルネーム」
プレゼント交換ね、って嬉しそうにしている。
お姉さんの吐いた白い息が夜に溶けていく瞬間を最後まで見届ける。
俺は……、
「蒼井、誠梨です────」
END.
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