時計はもう22時に向かって進み出している。
お姉さんが今日来たのは、いつもよりも遅い時間だった。
お姉さんは少し驚いた顔を見せたあと、すぐにふわっと笑って、
「いいよ、待ってるね」
そう言ってくれた────。
──────…………
「お待たせしました。寒かったですよね」
コンビニの駐車場の隅っこで、白い息を吐きながら待っていてくれたお姉さんに慌てて駆け寄る。
外は寒いから店内で待ってて、って言う意味だったけれど、気付いたときにはもうお姉さんはコンビニを出ていた。
「これ、よかったら……」
退勤してから買ったホットレモンティーを渡す。
俺の手からお姉さんの手にレモンティーが移る瞬間、かすかに触れたお姉さんの手は氷みたいに冷たくなっていた。