雨の日のバイトは憂鬱だ。
どんよりとした空に、ジメジメした空気。
なんだかパッと晴れなくて、ブルーな気持ちになってしまう。
それになにより、お客さんの靴の裏についた汚れが雨に溶けて、そのまま店内の白い床に茶色の模様がつけられていくのが気になって仕方がない。
定期的にモップをかけるけどキリがない。
本日何度目かわからないモップをかけながらふと外に目をやると、足早にコンビニに走ってくる人影をみつけて、センサーの下に立って先に自動ドアを全開にする。
「はあはあ……雨すごいね」
それは、傘もささずにずぶ濡れになったお姉さんだった。
毛先からポタポタと雫が滑り落ちていく。
「お姉さん?」
「ん?」
びっくりした。
雨の雫が光って、お姉さんが泣いているように見えたから。