無邪気に笑うお姉さん。
「酸っぱいの好きなんですか?」
「ううん、苦手だよ」
「じゃあなんで買ったの」
「アオイくんの好きな物を食べたくて」
どういう意味なんだろう。
「1袋はアオイくんにあげる。好きでしょ、食べて?」
「2袋も自分で食べ切れないことに気付きました?」
『ちがーう』と言いながら、子供みたいに笑っていた。
笑いすぎなんじゃないかと思うくらいお姉さんは笑っていた。
ほんの少しのお姉さんとの大切な時間。
1日の内のこの時間だけは、俺のことだけを考えてほしかった。
実際にお姉さんが俺のことを考えてくれているかなんてわからないけれど。
目の前でお姉さんはまだ笑っている。
可愛くて、愛おしくて、
そんな笑顔を崩したくなくて、
昨日見たことは、言えなかった────。