「アオイ君が前に話してたのってこのグミ?」
そう言ってお姉さんは、陳列されている数種類のグミの中の梅味のグミを指さす。
「あっ、これです。俺がハマってるの」
“超酸っぱ!!梅ぇ〜グミ”
パッケージからも酸っぱさが伝わるこのグミが美味しくて、密かに俺がハマっているもの。
お姉さんにチラッと前に話したことはあるけど、覚えていてくれていたことを知って嬉しくなる。
そのグミを2袋手に取ると、そのままレジへ向かおうとするお姉さん。
「えっ、これ買うんですか? お酒とアイスは?」
「今日はグミにする!」
お酒とアイスを買わないなんて珍しい。
いつもなにか別のものを買ったとしても、お酒とアイスは欠かさないのに。
「ちょっと食べてくるから待ってて!」
お姉さん以外お客さんがいないのだから別にここで食べてもいいのに、お会計を済ませたお姉さんは律儀に外に出てグミを味見してくるみたい。
1分程待っていると、お姉さんが瞳に涙を溜めて笑いながら店内に戻ってきた。
「すっぱい……!」