「――よし、リンクした。ユイ……さんはいま食堂で食事を摂っている。昼食は具材たっぷりのコーンスープに羊肉のシチューだ。シチューは野菜たっぷりでバランスがいい。あ、ユイさんがシチューを食べた。味は濃厚……ミルクたっぷりでバターもたっぷり。丁寧にアク抜きした骨でダシを取っているのか、おいしくてスプーンが止まらない。デザートのティラミスも王宮パティシエが腕によりをかけた逸品。これもおいしそうだ」
「そのレポいる……?」
「ごくり……」
だがアスミンさんはノドを鳴らす。
ユイさんの隣でニヤケ面の男が肩に手を回しているのは、言わん方がよさそうだ。
ニヤケ面の男――『ジェスパー・ラスホ』は男色家だが女もいける両刀使い。
ユイさんが女だと知り、その秘密を盾に関係を迫っているようだ。
ジェスパーは中肉中背のキザっぽい男で、まつ毛が妙に長くて、薄っすら青ヒゲ生やしたケツアゴで、黒髪をリーゼント風にまとめている。
ユイさんはジェスパーがとにかく生理的に無理なようで、迫られてお困りのご様子。
「う~ん……あった!」
俺はユイさんの情報からジェスパー・ラスホの記述を大量に発見し(内容のほとんどがセクハラが気持ち悪いで占められている)、そこから色違いのリンク先をゲットした。
「よし! 百識、“氷塔ユイ(ひとう ゆい)”のリンクをカット!」
「どうしたの?」
俺が急にリンクを切ったので、アリサが不安げにたずねる
「ユイさんの近くに騎士っぽい男がいたから、そいつにリンクして宮殿の状況を把握しようと思う。二重のリンクは負荷が大きいならユイさんとはいったんリンクを切った」
リンクは一度でも接続すれば任意で再接続可能となる。
切っても問題は無い。
宮殿の内情はユイさんよりむしろ周りの人間の方がくわしいはず。
ジェスパーを調べて上手く情報を集めれば、脱出の手がかりになるかもしれん。
「百識、『ジェスパー・ラスホ』!」
脳内に投影されるジェスパーの赤裸々な生涯。
大半が読む気も失せるほど気持ち悪い内容なので省くが、来月の半ばくらいにユイさんは城外での討伐訓練を始めるようだ。
これ以上は見たくないので接続を切る。
「ユイさんは来月の半ばに外に出る予定だ……ごめんちょっと待って、頭がクラクラする」
「ありがとう……」
アリサは安堵の笑みを浮かべた。
心の底から愛する者の無事を喜ぶ、とても美しい笑みだ。
「ねえ大丈夫? あんた、キモイ笑顔で白目剥いてずっと震えてたけど?」
「うん……」
百識は役に立つけど、大勢の前では使いたくない能力だな。
「あ、いま未来変わったわ」
「またかよ!? もうっ! 今度はなんだよ!?」
「アルム=ガルム、爆発したわ」
「なんでよっ!?」
爆発!? なんでだよ!?
「わかんないわよ……わたしは未来の結果は視れても過程は視れないの」
俺は思わず肩をつかんでガクガク揺するが、エリサはうっとうしそうに手を払いのける。
「未来って……?」
「あ……!」
聞き捨てならないセリフにアリサが反応した。
うっかりしていたが、これも未来に影響を及ぼすのではないだろうか。
「べつに。こっちらのことよ。気にしないで」
「そうなの……?」
アリサさん、なぜ俺を見るの?
ぜひ説明してほしいといった感じの視線を感じる。
「じゃ、話を戻すわね。爆発の影響は……凄まじいわね。休火山にも大きな影響を与えて大噴火だわ。その影響で連鎖的に他の火山まで爆発して、山より高い大津波が発生して大陸の大半が押し流されたみたい。おまけに大量の火山灰が空を覆って……こりゃ人類絶滅コースね」
「そ、そこまで……?」
なんか思ってたんとちゃう。
いくら大魔王の爆発ったって、せいぜい島の一部が吹っ飛ぶとかそのくらいのレベルを想定してたから茫然となる。
「絶滅!? さすがに聞き捨てならないわよ! 説明して!」
「あはは……」
俺が作り笑いでごまかそうとしても、もうダメだ。
アリサは話を聞くまで決して譲らないだろう。
だがエリサは構わず続ける。
「アルム=ガルムは魔族の仕かけた爆弾だったってわけね。並の攻撃じゃビクともしないけど」
「爆弾……!? 待てよ……! 第六階位のアルム=ガルムに唯一有効なのは勇者の聖剣……。“第六聖剣(オラシオス)”を持つユイさんの城外遠征……。俺達のユイさん奪還計画……」
なんか繋がってきたぞ……。
俺達がユイさんを助けようとすると、どういうわけかユイさんがアルム=ガルムを斬って爆発させちまうわけだ。本当にどういうわけかわからんが。
「でも、なんでだよ!? 大津波なんて引き起こしたら魔族だって無事じゃ済まないだろ! こっちに拠点だってあるんだし!」
「北の大地は『大氷壁』と呼ばれる2000メートル以上の天然の氷壁が大陸全域を覆っているから、津波の被害はほとんどないわね。拠点にいる連中は魔族にとって無価値な混血の混成部隊だし、まとめて全部流してキレイしてしまおうって考えでしょ」
「ひっでえやつらだな……」
ゼオ・ガットラーかよ。
俺が言うのもなんだか、悪魔的な連中だ。
これでは未来の凄惨な結末もなんか納得できてしまうぞ。
「安心して」
「えっ、なにか人類に希望がっ!?」
「魔獣の結末は変わってないから!」
「それはもういいよ!」
どんだけ魔獣滅ぼしたいんだよこいつ!?
屈託のない笑顔で親指立てやがって。
絶望的な未来のヴィジョン。
これのトリガーになりかねないアリサとアスミンさんに事情を話し、アルム=ガルム爆発の未来が変わるまで一時救出作戦を見送ることになった。
二人はエリサの能力にやや懐疑的で、中止に関してあまり納得してない様子だった。
未来視なんてそりゃ非常識にもほどがあるもんな。
爆発の未来はいまだ変わっておらず、このまま二人が勝手に実行してしまう可能性が高い。
なんとか期日までに説得できればいいのだが。
まあ、それはそれとして。
こちらの世界に来た俺は深刻なネタ不足に困っていた。
唯一のおかずであったシリルのパンツも危険物指定となり使用不能に。記憶を頼りにがんばってみたが百識の影響か、なぜかエロネタに限って記憶があいまいになって詳細を思い出せない。
シリルの乳首にも〇〇〇にもきっちりモザイクがかかってしまった。
だから必死に記憶を再構築している最中なのだ。
人類滅亡前に何をやっているのだという話もあるだろうが、男子高校生にとって性欲は切っても切り離せない問題。
草食系で性欲の欠片すらない主人公が「女、なにそれ?」と硬派で飄々とした態度を見せるのがトレンドな一方、現実の高校生はエロイことで頭がいっぱいなんだ。だから俺は、ネタの選別に人知れず苦労しているのだ。
女王のでっかい胸の谷間……いい!
シックスパックに割れた腹筋……いいね!
が……追放のトラウマが思い返されるのでダメ!
ラスフィーの小悪魔的な笑み……カワイイ!
ささやかな胸……惜しい! ダメ!
女騎士リミエラの凛全とした表情……ゾクゾクします!
硬いプレートアーマーに負けじと主張する大きな胸……最高です!
そこにひと匙、大量のオーク投入!
……あかん、味がぽやけた。今回はダメ!
リミエラのお嬢様……12くらいか? 可愛いけどガキすぎる! ダメ!
ミレイさんの形の良い釣鐘型のおっぱい……ヒューッ!
キュッとしまったお尻……フサフサの尻尾……ムラムラしてかつ癒されます!
ん~惜しい! あと一歩!
無修正映像で馴らした俺にはこの程度の刺激じゃ足りない。
無修正がほしい。
「そのレポいる……?」
「ごくり……」
だがアスミンさんはノドを鳴らす。
ユイさんの隣でニヤケ面の男が肩に手を回しているのは、言わん方がよさそうだ。
ニヤケ面の男――『ジェスパー・ラスホ』は男色家だが女もいける両刀使い。
ユイさんが女だと知り、その秘密を盾に関係を迫っているようだ。
ジェスパーは中肉中背のキザっぽい男で、まつ毛が妙に長くて、薄っすら青ヒゲ生やしたケツアゴで、黒髪をリーゼント風にまとめている。
ユイさんはジェスパーがとにかく生理的に無理なようで、迫られてお困りのご様子。
「う~ん……あった!」
俺はユイさんの情報からジェスパー・ラスホの記述を大量に発見し(内容のほとんどがセクハラが気持ち悪いで占められている)、そこから色違いのリンク先をゲットした。
「よし! 百識、“氷塔ユイ(ひとう ゆい)”のリンクをカット!」
「どうしたの?」
俺が急にリンクを切ったので、アリサが不安げにたずねる
「ユイさんの近くに騎士っぽい男がいたから、そいつにリンクして宮殿の状況を把握しようと思う。二重のリンクは負荷が大きいならユイさんとはいったんリンクを切った」
リンクは一度でも接続すれば任意で再接続可能となる。
切っても問題は無い。
宮殿の内情はユイさんよりむしろ周りの人間の方がくわしいはず。
ジェスパーを調べて上手く情報を集めれば、脱出の手がかりになるかもしれん。
「百識、『ジェスパー・ラスホ』!」
脳内に投影されるジェスパーの赤裸々な生涯。
大半が読む気も失せるほど気持ち悪い内容なので省くが、来月の半ばくらいにユイさんは城外での討伐訓練を始めるようだ。
これ以上は見たくないので接続を切る。
「ユイさんは来月の半ばに外に出る予定だ……ごめんちょっと待って、頭がクラクラする」
「ありがとう……」
アリサは安堵の笑みを浮かべた。
心の底から愛する者の無事を喜ぶ、とても美しい笑みだ。
「ねえ大丈夫? あんた、キモイ笑顔で白目剥いてずっと震えてたけど?」
「うん……」
百識は役に立つけど、大勢の前では使いたくない能力だな。
「あ、いま未来変わったわ」
「またかよ!? もうっ! 今度はなんだよ!?」
「アルム=ガルム、爆発したわ」
「なんでよっ!?」
爆発!? なんでだよ!?
「わかんないわよ……わたしは未来の結果は視れても過程は視れないの」
俺は思わず肩をつかんでガクガク揺するが、エリサはうっとうしそうに手を払いのける。
「未来って……?」
「あ……!」
聞き捨てならないセリフにアリサが反応した。
うっかりしていたが、これも未来に影響を及ぼすのではないだろうか。
「べつに。こっちらのことよ。気にしないで」
「そうなの……?」
アリサさん、なぜ俺を見るの?
ぜひ説明してほしいといった感じの視線を感じる。
「じゃ、話を戻すわね。爆発の影響は……凄まじいわね。休火山にも大きな影響を与えて大噴火だわ。その影響で連鎖的に他の火山まで爆発して、山より高い大津波が発生して大陸の大半が押し流されたみたい。おまけに大量の火山灰が空を覆って……こりゃ人類絶滅コースね」
「そ、そこまで……?」
なんか思ってたんとちゃう。
いくら大魔王の爆発ったって、せいぜい島の一部が吹っ飛ぶとかそのくらいのレベルを想定してたから茫然となる。
「絶滅!? さすがに聞き捨てならないわよ! 説明して!」
「あはは……」
俺が作り笑いでごまかそうとしても、もうダメだ。
アリサは話を聞くまで決して譲らないだろう。
だがエリサは構わず続ける。
「アルム=ガルムは魔族の仕かけた爆弾だったってわけね。並の攻撃じゃビクともしないけど」
「爆弾……!? 待てよ……! 第六階位のアルム=ガルムに唯一有効なのは勇者の聖剣……。“第六聖剣(オラシオス)”を持つユイさんの城外遠征……。俺達のユイさん奪還計画……」
なんか繋がってきたぞ……。
俺達がユイさんを助けようとすると、どういうわけかユイさんがアルム=ガルムを斬って爆発させちまうわけだ。本当にどういうわけかわからんが。
「でも、なんでだよ!? 大津波なんて引き起こしたら魔族だって無事じゃ済まないだろ! こっちに拠点だってあるんだし!」
「北の大地は『大氷壁』と呼ばれる2000メートル以上の天然の氷壁が大陸全域を覆っているから、津波の被害はほとんどないわね。拠点にいる連中は魔族にとって無価値な混血の混成部隊だし、まとめて全部流してキレイしてしまおうって考えでしょ」
「ひっでえやつらだな……」
ゼオ・ガットラーかよ。
俺が言うのもなんだか、悪魔的な連中だ。
これでは未来の凄惨な結末もなんか納得できてしまうぞ。
「安心して」
「えっ、なにか人類に希望がっ!?」
「魔獣の結末は変わってないから!」
「それはもういいよ!」
どんだけ魔獣滅ぼしたいんだよこいつ!?
屈託のない笑顔で親指立てやがって。
絶望的な未来のヴィジョン。
これのトリガーになりかねないアリサとアスミンさんに事情を話し、アルム=ガルム爆発の未来が変わるまで一時救出作戦を見送ることになった。
二人はエリサの能力にやや懐疑的で、中止に関してあまり納得してない様子だった。
未来視なんてそりゃ非常識にもほどがあるもんな。
爆発の未来はいまだ変わっておらず、このまま二人が勝手に実行してしまう可能性が高い。
なんとか期日までに説得できればいいのだが。
まあ、それはそれとして。
こちらの世界に来た俺は深刻なネタ不足に困っていた。
唯一のおかずであったシリルのパンツも危険物指定となり使用不能に。記憶を頼りにがんばってみたが百識の影響か、なぜかエロネタに限って記憶があいまいになって詳細を思い出せない。
シリルの乳首にも〇〇〇にもきっちりモザイクがかかってしまった。
だから必死に記憶を再構築している最中なのだ。
人類滅亡前に何をやっているのだという話もあるだろうが、男子高校生にとって性欲は切っても切り離せない問題。
草食系で性欲の欠片すらない主人公が「女、なにそれ?」と硬派で飄々とした態度を見せるのがトレンドな一方、現実の高校生はエロイことで頭がいっぱいなんだ。だから俺は、ネタの選別に人知れず苦労しているのだ。
女王のでっかい胸の谷間……いい!
シックスパックに割れた腹筋……いいね!
が……追放のトラウマが思い返されるのでダメ!
ラスフィーの小悪魔的な笑み……カワイイ!
ささやかな胸……惜しい! ダメ!
女騎士リミエラの凛全とした表情……ゾクゾクします!
硬いプレートアーマーに負けじと主張する大きな胸……最高です!
そこにひと匙、大量のオーク投入!
……あかん、味がぽやけた。今回はダメ!
リミエラのお嬢様……12くらいか? 可愛いけどガキすぎる! ダメ!
ミレイさんの形の良い釣鐘型のおっぱい……ヒューッ!
キュッとしまったお尻……フサフサの尻尾……ムラムラしてかつ癒されます!
ん~惜しい! あと一歩!
無修正映像で馴らした俺にはこの程度の刺激じゃ足りない。
無修正がほしい。