「高橋くん、返事、こない?」
お弁当を食べながらチラチラスマートフォンを見ていることに気づいたのか、昨日の歌番組の話で盛り上がる加菜ちゃんと奈々ちゃんに聞こえないほどの声で、友梨ちゃんがコソッと聞いた。
「うん……」
「しんどいのかな? 熱、下がっていればいいね」
高橋くんから返事が来たのは、お昼休みが終わる頃だった。
【たわいじょうふだよ、ありがとう】
……。
たわいじょうふ?
「返事、来たの?」
「うん」
第三者にメッセージを見せるのは少しためらわれたけれど、友梨ちゃんに高橋くんから送られてきたメッセージを見せる。
「たわいじょうふ?」
「”だいじょうぶ”って打ちたかったのかな?」
「そうかも?」
「でもそうだとしたら、全然大丈夫じゃない気がするよね」
友梨ちゃんの言葉に頷きながら、キーボードに指を滑らせる。
【熱、高そうだね……。ゆっくり休んでね】
【アイス、食べたい】
メッセージを送ると同時に既読の印が付き、彼から返信がくる。
これは、持ってきてほしいということなのだろうか?
【放課後、アイス持っていこうか?】
私もすぐに返事をする。
しかし、前のメッセージとは打って変わって、既読の印がつかない。
放課後、お見舞いがでらアイス持っていこうかな。
でも熱が高いのであれば、人が訪ねてくるのさえ億劫に感じるかも。
わざわざ「アイスを食べたい」と送ってきたのは余程食べたかったからかな。